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【2016年の10大ニュース】混迷時代の幕開け

今年のオーストラリアは、政治面でも経済面でも、当初の国民からの高い支持率を誇っていたターンブル政権が徐々に色あせていくのを垣間見た年だった。総選挙では辛うじて勝利したものの、手こぎで進む船のように政策が進まなかった。景況感は低調なままで政策金利を上げられない中、不動産価格だけが国民の手が届かない水準まで上昇を続けた。第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が、5年半ぶりのマイナス成長となり、2党間支持率でもついに最大野党の労働党に逆転されたことが象徴的と言えるだろう。
10大ニュースとしては、日本が逃した魚はあまりに大きいという意味で、新型潜水艦入札での日本落選を今年の1位とした。環太平洋連携協定(TPP)が絶望的とされる中で、米トランプ大統領就任後の世界で、日豪がどう協調していくのか、来年は特に先行きが見えない混迷した年になりそうだ。
一方、今年のニュージーランド(NZ)は、好調なマクロ経済指標や乳製品価格の改善などを受け、第3四半期(7~9月)のGDP成長率は前年同期比で3.5%増と、低迷する他の先進国を尻目に大健闘した年だった。オークランドで大規模に進むインフラ再開発の数々や、年末のキー首相の突然の辞任など、新しいNZへの期待を印象付けた。