南シナ海判決、マレーシアは歓迎も静観の構え

南シナ海で中国が主張する主権や権益について、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は12日、「法的根拠なし」として全面的に否定する判断を下した。南シナ海に領有権を主張するマレーシア政府は声明を発表し、司法判断を支持するとともに、中国に判断を尊重するよう求めた。ただ、マレーシアと中国は、経済的に強固な関係を築いてきているため、現実的には穏当な対処にとどまるとの見方が多い。13日付地元各紙が伝えた。

仲裁手続きは、フィリピンが2013年から求めていた。中国は南シナ海全域を囲むように、独自の境界線「九段線」を設定していたが、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、「歴史的にその海域を支配していた証拠はない」と結論付け、中国の主張を全面的に退けた。

中国は仲裁裁判所の判断について、即座に受け入れを拒否した。習近平国家主席は、南シナ海をめぐる「いかなる主張も受け入れない」と主張。これに対し米国は、「仲裁判断は最終的かつ法的な拘束力を持つ」と指摘している。

■玉虫色の対中政策を継続

仲裁判断が下された海域の一部には、マレーシアも領有権を主張している。マレーシア外務省は同日、仲裁裁判所の判断を「全面的に支持する」との声明を発表。関係諸国として明示しなかったものの、中国に司法判断の受け入れを促した。

ただ、マレーシアが中国に対して領有権を強硬に主張することはなさそうだ。マレーシアの貿易や産業に占める中国の存在感が大きいためで、政治問題化の回避を求める声も出ている。外務省の声明も、「全ての関係国・機関が外交プロセスを尊重し、紛争を平和的に解決できると信じている」とコメントしている。

13日付ニュー・ストレーツ・タイムズによると、マレーシア戦略・国際研究所のスティーブン・ウォン副最高経営責任者(CEO)は、長年にわたり築いてきたマレーシアと中国の関係を維持するため、「マレーシアは、いかなる政治的な立場も取るべきでない」と指摘。マレーシアが南シナ海で既に実効支配している島しょ部についてのみ権利を主張すればよいと述べた。中国も、領有権の主張を退けることはないものの、これ以上の衝突は避けるだろうとの見立てを示した。

南シナ海は、世界の海洋貿易額の約3分の1に相当する年間約5兆ドル(約522兆円)もの物資が通過する重要海域。豊かな漁場としても知られるほか、石油や天然ガスが埋蔵している可能性も高いと見られている。


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関連業種: 経済一般・統計社会・事件政治

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