北京
コラム
「北平(ペイピン)」は、明の初めと中華民国時代の一時期に使われた北京の旧称。北平と呼ばれた時代は北京の歴史の中では短い上、いずれも首都が南京にあった。都の地位を失っていた時代の地名だけに、北京の人にとってはプライドの上からも抵抗がありそうな気がする。
だが実際は必ずしもそうでもなさそう。北三環路と北四環路に挟まれた牡丹園に店を構える北京料理店は「北平楼」の屋号を掲げる。経営者がこの屋号を選んだ理由は知らないが、北京の味が楽しめる庶民的なレストランとして結構繁盛している。北平を屋号に使った飲食店は東大橋路でも見たことがある。
先日は中華民国時代の旧北平図書館跡が文化財の指定を受けた。北平は今、ある種のレトロとして受け入れられているのかもしれない。(蓬)