中央銀行などに当たるシンガポール金融管理庁（ＭＡＳ）が予想外の金融緩和に踏み切った14日、シンガポールドル（Ｓドル）は米ドルに対して約１％下がった。これ…

シンガポール

中央銀行などに当たるシンガポール金融管理庁（ＭＡＳ）が予想外の金融緩和に踏み切った14日、シンガポールドル（Ｓドル）は米ドルに対して約１％下がった。これに伴い、米国からの輸入品などは一部で価格が上昇。消費者の間で、米国以外から輸入する商品に切り替えるなどの動きが出てきている。
ＭＡＳは14日、Ｓドルの名目実行為替レート（ＮＥＥＲ）の傾きを、それまでの「緩やかな上昇」から０％（ニュートラル）に変更。12日までの３カ月間で米ドルに対して7.4％も上昇していた通貨高に歯止めを掛け、Ｓドル安へと導いた。
ストレーツ・タイムズによると、電子商取引（ＥＣ）サイトのアマゾン・コムはＳドル安を反映し、米国から輸入する商品をすぐに値上げした。これには消費者もすかさず反応。アマゾンで日用品や子ども用のおむつを購入していたクレア・ヤンさん（30）は、「（米国の商品が多い）アマゾンで買うのをやめ、米国以外から輸入される商品や国産品を地元の商店で買うことにした」と話した。
金融機関でディレクターを務めるラフル・マドリアー氏は、「米アップル社のスマートフォン『アイフォーン（ｉＰｈｏｎｅ）』がこれで50Ｓドル（約4,000円）高くなったらサムスンを選ぶ」と話す。
旅行先や留学先についても、今後影響が出てきそうだ。会社員のマーカス・リャンさん（25）は、「休暇の旅行先として米国はしばらく控えるだろう」とコメント。経営学修士（ＭＢＡ）留学の支援を行うＭＢＡリンクのローレンス・リンカー氏は、「米ドル高により、授業料が安く期間も短い欧州のビジネススクールへの希望者が増える」と述べている。
ただ米国から輸入する商品全ての価格が上がるわけではないと専門家は指摘する。野村シンガポールのエコノミスト、ブライアン・タン氏は、「確かに通貨安になればその分の輸入コストは上がるが、小売価格に反映されるかは企業次第。原油価格がまだ低水準にある中で値上げ圧力は低いのではないか」と述べている。

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