ミャンマーで4月1日から電気料金が値上がりする。使用量に応じて最大で工場など産業用が2倍、家庭用が43%それぞれ上昇する。ミャンマー連邦議会の上下両院で19日に可決された。電気料金の改定は昨年11月に実施が予定されていたが、市民の反対で延期されていた。仕切り直しとなる今回の値上げも、食料品など生活物資のインフレ基調が続いていることもあって反発の声が再び高まるとみられる。
電気料金の算出には1キロワット時(kWh)の単価と使用量を単純に掛け合わせる方式が採用されてきたが、4月以降は使用量に応じ段階的に単価を設定する制度に変更される。使用量が多いほど料金が割高になる。
産業用は1カ月の使用量が500キロワット時(kWh)以下だと1kWhあたり75チャット(約7.9円)、501~1万kWhで同100チャット、5万1~20万kWhでは150チャットと段階的に上がる。家庭用は100kWh以下が1kWhあたり35チャットで201kWh超は50チャットになる。従来は使用量に関係なく家庭用が1kWhあたり35チャット、産業用が75チャットだった。
議会は19日、テイン・セイン大統領の要請に基づいて電気料金の改定について審議した。ミャンマーでは政府が手掛ける電力事業の採算が悪化しており、地元紙ミャンマーフリーダムによると1kWhあたり0.52チャットの赤字が発生している。2割台にとどまる電化率を高めるための資金負担増もあり、政府は電気料金の引き上げが不可欠と判断した。
ただ、値上げが浸透するかどうか先行きは読めない。コメを中心に食料品の価格が上昇傾向にあって市民生活を圧迫しており、産業界も人件費の急騰で経費負担が増しているからだ。市民や産業界からの反発は免れないとみられる。
政府は昨年10月にも料金を改定すると発表した。11月から新たな料金体系を適用するとの方針を示したが、最大の都市ヤンゴンなどで市民による反対集会が多発。政府は電気料金改定の一時凍結を決めていた。
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