豊田通商は10日、アルカンタラ系持ち株会社アルソンズ・コンソリデーテッド・リソーシズ(ACR)の完全子会社サランガニ・エナジー(SEC)について、株式の25%を取得することでACRと正式契約を交わした。SECがミンダナオ地方サランガニ州で建設を計画している火力発電所の運営権の確保が狙い。
豊田通商渉外広報部の担当者は11日、NNAの取材に対して、同社電力プロジェクト部の牛島新一部長やACRのトーマス・アルカンタラ会長らによって10日にSECの株式譲渡に関する正式契約が交わされたと説明した。
ACRのフィリピン証券取引所(PSE)への報告によると、SECはサランガニ州マアシムに石炭火力発電所の建設を計画。建設事業は2期に分けて進める方針で、第1期では2015年8月までに10万5,000キロワット(kW)の発電態勢を構築し、第2期には21万kWまで引き上げる。すでに設計や地質調査などに着手しており、来年3月までに建設工事を開始する予定だ。
第1期の建設事業費3億1,000万米ドル(約255億4,000万円)のうち、3割は出資比率に応じてACRと豊田通商が拠出し、残る7割は金融機関からの融資で賄う。金融機関とは近く融資契約が成立する見込みという。
SECは、サランガニ州やジェネラルサントス市で電力供給を行うサウスコタバト第2電力協同組合(SOCOTECO2)との間に電力販売契約(PSA)を締結。SOCOTECO2は、13万3,000世帯以上を対象に最大7万kWの電力を供給する。
■サンボアンガにも火力発電所を計画
アルカンタラ・グループは、SEC以外に子会社ウエスタン・ミンダナオ・パワー(WMPC)やサザン・フィリピン・パワー(SPPC)を通じて火力発電所を運営。WMPCはサンボアンガ市サンガリ(出力10万kW)、SPPCはサランガニ州アラベル(同5万5,000kW)でバンカー重油を燃料とする火力発電所を運営している。豊田通商は、WMPCとSPPCに対しても各25%を出資している。
さらにアルカンタラ・グループは、同じく傘下のサン・ラモン・パワー(SRPI)を通じて、サンボアンガ市タリサヤンに出力10万5,000kWの石炭火力発電所の建設を計画。2016年の商業運転開始を予定している。
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