オバマ米大統領が再選を果たしたことで、フィリピンのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業界では、米国企業による海外でのアウトソーシング(業務委託)を制限する法案が可決され、大きな打撃を被るという懸念が広がっている。8日付ビジネスミラーなどが伝えた。
米下院の共和、民主両党の3議員が昨年12月に提出した「コールセンター・消費者保護法案」は、コールセンターなどを海外に移転する米企業に対して、税制上の優遇措置を凍結し、海外への業務委託を中止して国内に雇用をもたらす企業に20%の減税を実施するという内容。
米上院は7月に同法案を僅差で否決したが、オバマ大統領は選挙戦で国内の雇用対策強化を打ち出しており、同法案を再提出し、成立を目指す可能性が高い。
同法案をめぐっては、米企業によるフィリピン企業への業務委託が減り、国内経済を大きく支えるBPO業界の収益基盤が縮小し、雇用にも大きな悪影響を及ぼすとの懸念がくすぶっていた。大統領府のマヌエル・ケソン次官は8日、出演したテレビ番組で、同法案が成立したとしても、米企業が収益を重視すればフィリピンを離れることはないとして、国内BPO業界は安泰との見解を示したが、業界は当面、米政府の動きに神経を尖らせることになりそうだ。
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