「借り物の場所、借り物の時間」。名画「慕情」で語られる、香港を形容した有名な言葉だ。
「彼は瀋陽へ来られるのに、私は香港に行けない」「1997早く来い、私も香港へ行けるようになる」。中国東北出身の艾敬(アイ・ジン)が歌ったヒット曲の一節だ。
借り物は本来の持ち主に返され、女性歌手は彼が待つ香港へ自由に出入りできるようになった。どちらも、かつての香港が置かれていた状況を、分かりやすく的確にとらえた表現だった。当事者であり、当事者ではない人たちの視点から。
ビクトリア湾ではきょうも釣り人が糸を垂らし、遊泳禁止の看板をよそに水遊びに興じる一団がいる。ここは昔から彼らの場所であり、彼女たちの時間が流れている。変わったものがあり、変わらないものもある。香港はあす、返還から25年を迎える。(港)
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