山田風太郎のエッセー集「あと千回の晩飯」は、死を意識しはじめた老作家のユーモアあふれる筆致と、どんなに老いようとも生きるのに欠かせない食に絡めたタイトルが絶妙で、愛読書の一つとしている。
先日読み返しているうちに、ふと自分は今後何回海外に出かけられるのだろう、と考えた。残りの会社人生と平均寿命、衰えつつある体力を考えると、公私合わせて「あと20回の海外」といったところか。
アジアを飛び回れるからと選んだこの仕事。多いときは毎月どこかに出ていた。しかし20年春からのコロナ禍で状況は一変。渡航規制が緩和されてきた今も、一部の国はまだ敷居が高い。
来月、2年半ぶりの海外出張に出る。通常より高めの航空券を前に、正装してフルコースに臨む気分である。仕事はもちろん、この間に街は、人はどう変わったのか、しっかり五感でつかみ取ってきたい。(蔵)
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