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コロナ後も日本旅行に熱視線 JNTO、20~40代初訪日に照準

日本政府が10日から外国人観光客の受け入れを再開したのを受け、マレーシアの旅行会社からも日本へのツアーに関心が集まっている。マレーシア旅行業協会(MATTA)が昨年以降2回開催した旅行見本市では、多くの人から「日本に行きたい」との声が上がった。日本政府観光局(JNTO)クアラルンプール事務所の松本二実所長はまず、20~40代を対象に初めて訪日する人の割合を高めることを目指す。

「訪日旅行への関心が高い」と語るJNTOクアラルンプール事務所の松本所長=14日、クアラルンプール(NNA撮影)

「訪日旅行への関心が高い」と語るJNTOクアラルンプール事務所の松本所長=14日、クアラルンプール(NNA撮影)

――マレーシアの訪日旅行への関心は。

旅行会社の関心がとても高い。外国人観光客の受け入れ再開に先立ち9日に旅行会社向けに行ったオンラインセミナーでは、直前の案内だったにもかかわらず、350人以上が参加した。

通常のオンラインセミナーの参加者は平均70人程度。1日当たりの入国者数の上限が2万人であることや、添乗員付きのツアーに限られている中でも、日本への旅行に対する関心は高いことがうかがえた。

また、昨年11月と今年4月に開催されたMATTAフェアでは、一部の旅行会社が訪日旅行再開を見越して商品を販売していた。特に11月や12月は学校の長期休暇に伴う旅行シーズンになるため、その時期の商品の取り扱いが多かったという。

ただ、査証(ビザ)の取得が必須になったなど手続きが煩雑になっていることや、入国手順の発表が直前だったこともあり、実際の旅行者が増えていくのは7月以降となる見通しだ。

――訪日旅行のターゲットは。

マレーシアの人口構成は若い人が多いため、20~40代を狙う。マレーシア人で訪日経験があるのは人口のわずか20%。そのため、まずは日本に行ったことがある人を増やしたい。新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以前は華人系の旅行者が多かったが、マレー系にもプロモーションを強化する。

具体的には、マレー系全般、華人系の20~40代の家族による旅行、旅行会社を利用する人、友人と旅行する人をそれぞれ狙う。

――どんなプロモーションを行う予定か。

オンラインでの情報発信を主体に、会員制交流サイト(SNS)やウェブサイトを活用して訪日に関心を持ってもらうキャンペーンを行う。マレーシアで人気のあるインフルエンサーに日本に実際に行ってもらい、安全に旅行ができたというリポートをアップしてもらうことも予定している。

また、9月16~18日にスランゴール州プタリンジャヤの商業施設「トロピカーナ・ガーデンズモール」でJNTO主催の「ジャパン・トラベル・フェア」を開催する予定。会場とオンラインの両方で出展・参加が可能なハイブリッド形式とし、地場旅行会社や日本関連企業のほか、日本の地方自治体などにマレーシアに来てもらいプロモーションをしてもらう予定だ。

――人気が出そうな目的地やツアーは。

東京、関西、北海道が引き続き人気になるだろう。飛行機が主要な空港から飛び始めることやマレーシア人の8割にとって日本旅行は初めてであるため、この3カ所は外せない。北海道に関しては、地場旅行会社が冬に6本のチャーター便の運航を予定していると聞いている。

JNTOが昨年11月と今年4月のMATTAフェアで実施した調査で、目的地に北海道を選んだ人は、昨年11月は27.1%、今年4月は30.6%に上った。関東や関西はどちらも10%台にとどまっている。

旅行の目的は、華人系とマレー系で異なる。華人系は、食事や風景、温泉が人気であるのに対し、イスラム教徒(ムスリム)のマレー系は、ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)対応を懸念しているため食事への期待度は低い。そのため、四季、テーマパーク、買い物が好まれる。

今年4月に開催されたMATTAフェアの日本ブースの様子(JNTOクアラルンプール事務所提供)

今年4月に開催されたMATTAフェアの日本ブースの様子(JNTOクアラルンプール事務所提供)

――新型コロナ流行前と流行後で訪日旅行への意欲や行動の変化は。

マレーシア人の訪日意欲は変わらないもしくは、高まったように感じる。MATTAフェアの際は、「日本に行きたい」「いつ行けるようになるのか」という声をたくさん聞いた。特に、今年4月のMATTAフェアでは、「どこに行くのがお勧めか」という具体的な質問が昨年11月に比べて増えた。

また、新型コロナ後の傾向としてアウトドアを好む人や自分で車を運転しての旅行に興味がある人が多くなっている。

■価格と規制が課題に

――訪日旅行者を増やすためのハードル、課題は。

日本を結ぶ飛行機の便数、価格、規制だ。飛行機の便数は7月からマレーシアの格安航空会社(LCC)大手キャピタルA(旧エアアジア・グループ)の長距離部門エアアジアXの日本行きが運航することが決定しているが、新型コロナ前と比べると十分ではない。

また、マレーシア人が旅行を選ぶ際に最も優先しているのが入国制限のない国だ。現状では、日本行きはハードルがある状況となっており、新型コロナ前とほぼ変わらない手続きで行けるタイ、インドネシア、シンガポールなど近隣諸国に旅行者の目が向いている。

価格に関しても、日本ではガイドを付けることが必須となっているため高額になることが多い。ただ費用に関しては、JNTOが今年4月に開催されたMATTAフェアで実施した調査で26.1%が「新型コロナ前より高くなっても行きたい」と前向きな見方を示してもいる。

――マレーシア人が選ぶ行き先として、日本の競合になるのはどこか。

台湾と韓国。韓国はプロモーションで、Kポップや韓流ドラマといった文化を活用し旅行需要を喚起している。また、新型コロナ前は韓国旅行の方が、訪日旅行より安かったため報奨旅行などでも日本より選ばれやすかった。

一方、台湾は華人系にとっては言葉が通じるため、選ばれやすい。それもあり、台湾の観光当局はムスリム向けプロモーションなども行っており、競合になると考えている。

コロナ前から日本は清潔なイメージが持たれているため、2カ国とはそこで差別化を図っている。これは新型コロナ後も変わっておらず、日本には安心・安全、清潔というイメージが強い。

――コロナ禍が「エンデミック(日常的に流行する感染症)」に向かう中、訪日観光はどう推移していくとみているか。

規制緩和当初は、価格面のハードルもあり、「日本が好きでまた来た」というリピーターが集中することが予想される。

また、旅行会社を利用することで「安心をお金で買う」という状況が続くため、旅行会社を使ったツアーの利用者も増えていく可能性が高い。ただ、コロナ前はマレーシアからの訪日旅行者の8割が個人旅行だったため、将来的には企業・消費者間取引(BtoC)向けのプロモーションを強化する予定だ。

特にマレー系ムスリムは生活水準も上がっているため、今すぐというわけではないが増えていく見通し。そのため、訪日した際に宗教的・文化的な習慣に不便を感じることなく、安心して快適に滞在できるような情報提供を心掛けている。

飛行機が飛んでいる大都市をゲートウエーにしながら新幹線などを活用してもらい、日本は地方都市でも楽しめるということを訴求していきたい。(聞き手=笹沼帆奈望)


関連国・地域: 台湾韓国マレーシア日本
関連業種: サービス観光マクロ・統計・その他経済社会・事件

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