年を重ねるごとに古いものが好きになる。最近は週末になると、ソウル市内の伝統家屋が並ぶ地域を散策したり、美術館や博物館を訪ねたりするのが楽しい。
ソウル市立工芸博物館では、伝統工芸品の「ポジャギ」を鑑賞した。日本でいう風呂敷だが、韓国らしいカラフルなパッチワーク調の「チョガッポ」は見ていて飽きない。麻の薄い素材の透け感や品のある色合いの重なりには、日常の中のそこはかとない美を感じる。昔は、韓服の着古しや作る際の端切れを縫い合わせて作ったのだとか。つまり、無駄を残さないという先人の知恵でもあるわけだ。
ポジャギを用いた動詞としては、包むのほかに、持つ、背負う、覆う、敷くなど多彩。西洋のカバンが普及する前は、1枚の布が日常のあらゆる場面を包んでいた。自分には可能な動詞がいくつあるかと考えつつ、帰途に就いた。(葉)
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