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酒造りに台湾の食材活用 新北の合力酒業、体験の場も提供

台湾の食材を生かした酒造りに取り組んでいるユニークな会社が新北市にある。その名は合力酒業(ホーリー・ディスティラリー)。ウイスキーやジンなどの蒸留酒を主に製造し、2016年の創業後わずか2年で国際的なコンテストで賞を獲得するなど実績を重ねている。近年はバーの関係者らに工場を開放し、酒造りを体験する場を提供するなど実験的な取り組みも展開している。【卓吟錚】

創業の経緯や酒造りにかける思いを語る合力酒業の張佑任最高経営責任者=新北(NNA撮影)

創業の経緯や酒造りにかける思いを語る合力酒業の張佑任最高経営責任者=新北(NNA撮影)

陶芸の町として知られる新北市の鶯歌地区。台北の中心部から台湾鉄路(台鉄)に乗って30分ほどで到着するのどかな山あいの町に、合力酒業の工場はある。一歩足を踏み入れると、ずらりと並んだ酒だるやウイスキーなどの製造設備が目に飛び込んできた。

合力酒業は張佑任最高経営責任者(CEO)が2016年に設立した。張氏はそれ以前に父親の設立した酒類の貿易会社の経営を手伝い、中国からの旅行客への販売にも力を入れていたが、台湾で同年、中国国民党から民主進歩党(民進党)へ政権が代わり、中国人旅行客が減少したことが転機となった。

売り上げが減少する中で張氏が新たに目をつけたのが、台湾にやって来る日本人旅行客だった。南投県名産の凍頂烏龍茶を原料にした焼酎を製造。商品名には、台南市にある烏山頭ダムを中心とする大規模かんがい施設の建設に尽力した日本人技師、八田與一(1886~1942年)の名字を盛り込んだ。空港などでの販売は好調。張氏は市場の成長性などを考慮し、最終的にウイスキーやジンを手がけることを決めた。

同社のウイスキーは2018年、英国の世界的な酒類コンテストの一つ「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)」で銅賞を獲得した。

■山や海をイメージ

張氏が現在力を入れているのが、台湾の食材などを使った酒造りだ。自ら山や海へ向かい、酒造りに適した食材や素材を探している。これまでに試したのは、陽明山の孟宗竹(モウソウチク)、南投県のパイナップル、馬祖のイガイなど。台湾の山や海、草原をイメージしたジンを作り出してきた。

張氏がこうした取り組みを始めた背景には、新型コロナウイルスの感染拡大がある。海外への渡航が困難な状況が続き、それが台湾に目を向けるきっかけとなった。「自然の豊かさを通じて台湾という島を表現することが基本的なコンセプト。島で成長した植物そのものは海をただよって遠くへ行くことはできないが、酒にすれば台湾を離れ、海外の友人たちに飲んでもらうことができる」と話す。

実験的な取り組みは他にもある。バーの関係者に工場を開放し、酒造りを体験してもらう場を設けている。「どのような材料を使えば、どう味が変わるのかを知ることができる。必要があれば、機器をどのように使うのかも指導している。(広く参加してもらえるよう)ハードルを低くしている」と話す。

昨年8月には台湾で人気のバーと共同で、自社のジンを使って業界関係者にカクテルを作ってもらうコンテストを開催。イベント後にはコンテストの優勝者と共同でジンを限定生産し、関係者に贈った。

■成長の場は海外

合力酒業は現在、台湾を主要市場としているが、今後は海外市場にも力を入れていく方針だ。中でも欧米市場にウイスキーを売り込みたい考え。市場が大きいだけでなく、中小規模のブランドも比較的受け入れられやすいとみている。

張氏は「当社のウイスキーの味は伝統的なスコッチウイスキーとは異なるが、一定の消費者に受け入れられるはずだ」と見込む。新型コロナウイルスの感染状況を見極めた上で米国の見本市に参加し、現地の代理店を探したいという。日本向けにも販売したい考えで「成長の場は海外にある。国際的なコンテストに参加し、知名度を高めなければならない」と語る。

合力酒業の足元の年産能力は約2万リットルで、21年の売上高は約2,000万台湾元(約8,800万円)に上った。コロナ前の水準を上回ったが、10年後には1億~1億5,000万元に引き上げたい考えだ。張氏は「少しずつ生産能力を拡大し、消費者に愛される商品を生み出していきたい」と力を込めた。

酒だるなどを保管している合力酒業の工場=新北(NNA撮影)

酒だるなどを保管している合力酒業の工場=新北(NNA撮影)


関連国・地域: 台湾
関連業種: 食品・飲料マクロ・統計・その他経済

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