「ケセランパサランみたい」。友人が発したその言葉を聞き、一瞬なにかの魔本の呪文かと思ったが、すぐにUMA(未確認生物)のことだと思い出した。その正体は、柳絮(りゅうじょ)と呼ばれる柳の綿毛だ。北京の春の風物詩で、この時期になると一斉に飛散する。
一方の私は、川崎洋の『たんぽぽ』という詩を思い浮かべていた。暖かい日差しの中にふわふわと舞う種子を見ていると、まるでそれぞれが意思を持っているのかと錯覚する。気持ちよさそうだ。
ついに先日、居住区の一部で封鎖管理措置が打ち出された。柳絮のように空を飛んで、省を越え国境さえも越えられたらいいのに。現実は反対に行動範囲が狭まっている。そういえば、ケセランパサランは見ると幸せになれるという。もしもこの綿毛の中に混じっているならば、自宅隔離を強いられている全ての人々のところまで飛んでいけ。(矛)
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