今回はフィリピンやインドなど英語圏でインターナショナルスクール(以下、IS)に通っている、1月24日付の寄稿で表にまとめた分類でいえば「E」を分析する。
▽例:オーストラリア、オセアニア(フィリピン、インドなど英語が公用語の国を一部含む)のISに通学している小学生・中学生
▽身に付けている学力:英語で学年相当の学力が備わっている
▽英語力:学年相当
▽現地語:生活会話レベル
▽日本語:母語であるが、文法、漢字、熟語、ことわざなどが弱い。
■定番進路
帰国生に強い国公私立小学校・中学校に入学。主な受験校は、連載の第4回(2月21日付)と同じである。
小学校では英語イマージョン教育の幕張IS、LCA国際小学校、玉川学園小学部・中学部、啓明学園初等部などが検討できる。ISの多くは学校教育法第134条に規定する各種学校として認められているが、幕張ISは学校教育法第1条に定められた一条校だ。
■新しい進路
英語圏のISに通う生徒は、多様な人種のなかで自分の考えを伝えることができる。海外ISの在学歴が長いほど、帰国後もISに編入することを検討したい。
学校選びは、同じカリキュラムのスクールを選ぶことが重要。イギリス式は、ブリティッシュスクール、ローラスIS、ムサシISなどが挙げられる。
国際バカロレアは、セントメリーズIS、清泉IS、アオバジャパンISなどが挙げられる。
インド式は、グローバルインディアISなどが挙げられる。
注意点:帰国後に小学生・中学生がISに進学する際は、住む地域の教育委員会に相談する必要がある。無断でISに通わせていると子どもが中卒資格を得られない場合がある。
費用面では、年間約250万円の学費を払い続けることができるか検討が必要。
現地語:ISの教員には、フィリピン、インドの教員がいるためスクールに相談可。
■帰国生入試
国立、公立、私立の中学校・高校受験は、帰国生枠を受験できる。ISに編入する場合は、帰国1年前から相談可。
年間を通して入試を実施しているスクールも多く、帰国前に志願し、オンライン面接を経て合格し、帰国後すぐにスクールに通い始めることもある。
■難度が高いケース
帰国生枠のない国公私立中学校・高校は、英語力が落ちるため英語力維持・向上の対策が必要である。
■帰国後のケア
国内のISのサタデースクールやサマースクールに通うことで英語力維持ができる。ネーティブ教員と自由に話せるオンライン英会話もオススメ。英語圏のサマースクールも上手に利用したい。
最終回となる次回は残りのカテゴリー「F」の事例を分析した上で、帰国子女の新たな選択肢について総まとめをしたい。非英語圏で現地校で学ぶ「D」の事例もゼロではないが、いまや世界中にISや日本人学校があり、現地校に通う日本人はまれなケースとなっているため、割愛する。
<筆者プロフィル>
国際教育評論家:村田学
米国カリフォルニア州トーランス生まれ。幼稚園までアメリカで過ごし、小学生になる前に帰国。千葉、埼玉、東京と関東周辺で育つ。英語を忘れた帰国生として日本の小中高を公立校で学び、大学で会計学を学ぶ。専門学校の事務などを経て、インターナショナルスクール専門メディアのインターナショナルスクールタイムズを創刊。その後、プリスクール経営、国際バカロレア候補校の幼小中のインターナショナルスクールを経営。国際バカロレアの教員研修を修了。現在、教育評論家として活動している。
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