ストッキング最大手のアツギ(神奈川県海老名市)は20日、生産子会社のアツギ東北(青森県むつ市)のストッキング生産業務を5月末に終了し、山東省煙台市にある工場に生産を集約させると発表した。煙台では既存工場の移転に伴い、新工場の建設を進める。
アツギ東北の生産終了の背景には、ストッキングの急速な需要減少がある。新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンド需要が消滅したことや、在宅勤務の拡大や外出自粛が響いた。事業環境の変化に伴い、同社は2019年3月期以降、最終赤字が続く。業績の改善を図るため、生産機能をコスト競争力のある中国の煙台工場に集約し、生産体制の最適化を進める。
アツギは煙台市に2つの工場を置く。第1工場の煙台厚木華潤靴下は01年12月に設立。登録資本金は1,800万米ドル(約20億5,800万円)で、出資比率はアツギが95%、現地のアパレルメーカーが5%。
第2工場の厚木靴下(煙台)は09年12月に設立。登録資本金は1,800万米ドルで、アツギが全額出資した。煙台の2工場ではストッキング、厚手タイツ、靴下の生産を手掛けている。
煙台厚木華潤靴下は、所在地の都市化や商業用地化が進み、工場用地としての利用継続が困難になったことから、工場移転を計画。移転に伴い全額出資の新会社、煙台阿姿誼靴下を昨年12月に設立した。登録資本金は2,300万米ドル。
今後、新会社が煙台厚木華潤靴下を吸収合併した上で、新工場を建設し、25年3月期以降に操業開始する予定。再編後の中国生産拠点は新会社と厚木靴下(煙台)の2拠点体制となる。生産能力は、既存工場と同等になる予定。
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