オーストラリアの観光業界が、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の大流行により、夏季休暇中に見込んでいた売り上げの回復を達成できず、危機的な状況に陥りそうだ。規制は緩和されていても、個人による感染対策「自主的ロックダウン(封鎖)」が広く行われているほか、濃厚接触者となり隔離に入るスタッフが増え人手不足が深刻化している。10日付シドニー・モーニング・ヘラルドが伝えた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の直近のデータによると、シドニーやメルボルンは「隠れたロックダウン」状態となっており、家計支出は政府が規制を強化していた頃とほぼ同じ低水準だという。
業界団体のオーストラリア観光輸出カウンシル(ATEC)のシェリー代表は、観光業界はクリスマス休暇に売り上げを増やし、事業を軌道に乗せることを期待していたが、逆にストレスのたまる時間となったと指摘。政府の支援が必要だとしている。
■ネット予約増、フライトセンターに脅威
新型コロナ流行下で、旅行者によるオンライン予約が増えていることが分かった。旅行代理店最大手フライトセンターにとっては大きな脅威で、競合のオンラインサイトに顧客を奪われ、実店舗への客足が遠のいているようだ。
金融情報会社モーニングスターは「フライトセンターは過去20年にわたり、強力なサービスネットワークにより客足を確保し予約数を堅持してきたが、今後10年、オンライン予約サービスを行う競合他社から同社を守るためには十分でないと考えられる」と評価した。
一方フライトセンターは、オンラインサービスを拡充中だとしている。
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