人口わずか２万6,000人。南部で最も過疎化が進む慶尚南道宜寧郡に向かう道のそばには、なぜか立派な観光広場がある。郡境の川に浮かぶ岩、通称「ソッパウィ（釜岩）」。そこを起点に半径８キロ圏内には大手財閥のサムスン、ＬＧ、暁星グループ創業者の生家があるため、ちょっとしたパワースポットとなっている。
ソッパウィは５メートルほどの大きな岩で、形がふた付きの釜に似ていることからその名がついた。所どころ松が生えた姿は、心なしかおめでたい雰囲気だ。
人口の20％がソウルに集中する韓国だが、意外にも10大財閥の創業者にソウル出身はいない。歴代大統領も同様で、半数は慶尚道出身だ。その陰にはほんの少し、不思議な岩の力が働いているのかもしれない。わが家も頼むぞソッパウィ――。地元の人らは、岩にもすがる思いで手を合わせているようだった。（瑞）
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