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【アジアで会う】横山徹さん シエンコ4ジャパンブリッジ会長 第367回 技能実習生と日本の懸け橋に(ベトナム)

よこやま・とおる 1947年6月25日、長崎市生まれ。同志社大工学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入り音響関係の技術営業などに携わった。2000年、外国人技能実習生の受け入れ・派遣などを行う一般社団法人外国人材・留学生支援機構(IFTO)顧問に就任。21年7月、IFTOとベトナムの大手建設会社、第4交通インフラ建設総公社(シエンコ4)が設立した合弁会社「シエンコ4 ジャパンブリッジ(C4JB)」の会長に就任した。

会議の合間に職場でくつろぐ横山さん(本人提供)

会議の合間に職場でくつろぐ横山さん(本人提供)

■同窓が縁で

ベトナムやミャンマーなどからの技能実習生を日本で受け入れ、企業に派遣する東京の社団法人とベトナムの大手建設会社が今年7月、共同出資でベトナムの首都ハノイに合弁会社を設立した。そこの会長職に就任した。

これまでもアジアの国々と深く関わる仕事をしてきたのかと連想したが、そうではないという。

「IFTOの代表理事が、大学の同窓だったことで声が掛かりまして……」。出身大学の東京校友会会長を務め、青春時代を同じ学びやで過ごした仲間との連絡を欠かさない。その縁をたぐって遊び仲間の輪を広げ、生業につなげるのが本領だ。今回もその延長で白羽の矢が立ったようだ。

新会社でも、まずは同窓生が幹部を務める日本の大手空調機メーカーや住宅設備メーカーの商品を、合弁相手の会社のベトナム人社員に格安で提供し、福利厚生の改善に役立ててもらえないかと準備を進めている。

日本とベトナムの間では、新型コロナウイルス流行による往来制限が続き、技能実習生の受け入れがストップした状態だ。その穴を埋めるため、両国をはさんだ週1回のオンライン会議で「できることから始めよう」とハッパをかける。当面の照準は、協力してくれる日本企業の商材をベトナムのオフィスや住宅に割安価格で導入していくことに定めた。

「まずは、『シエンコ4』さんが保有する数多くの施設や取引先を対象にしたリフォーム事業を軌道に乗せたい。それから風力発電事業、その次は日本式農業によるイチゴのハウス栽培を成功させ、ベトナムで増えつつある中・高所得層に売っていく……」。仲間との会話から生まれるアイデアを一つ一つ検証し、種まきを欠かさない。近い将来には、帰国した元技能実習生が、日本で学んだ技術を生かして母国で働き続ける好循環を機能させ、両国の懸け橋にしていきたい。それが「ジャパン・ブリッジ」の社名に込めた新会社の理想像だという。

■若い頃はオーディオの世界に

若い頃はどんな仕事をしていたのか。そう問うと、「いろいろやりました」と振り返った。

「高校生時代から自分でアンプを組み立て知人に売っていた」ほどのオーディオ好きだ。その流れで入社した松下電器でもオーディオの設計部署に配属されたが、時代はまさにデジタル化のとば口だった。ライバル・ソニーが開発した「ウォークマン」が革命を呼び起こし、オーディオはあっという間にレコード盤からCD、MD、超小型のメモリー端末に移っていった。

40歳代の頃は名古屋の芸術文化センターへのホール音響設備の納入で提案から設計・施工までを一括で請け負う10億円以上の仕事にも関わった。しかし、「いい音を聴くために何億円もかかる大規模な設備を求める時代は長くは続かなかった」という。その後は、自治体や公社・公団などを相手にした防災無線や、トンネル内の電気設備など、オーディオと離れた世界を歩いた。

■高成長国での「達成感」

松下電器時代もアジアとの関わりがなかったわけではない。

ハイビジョン設備の納入で時々出張に出かけていた台湾・台北市の活気が印象的だったという。

「高度成長している国では仕事で得られる『達成感』が違う。成熟社会の日本では、仕事をしても達成感がなかったり、自分は達成感を感じても周りが認めていなかったり、どこかチグハグ感がありますよね」

高度成長が続くベトナムと、成長の果実を自国に取り戻したい日本をつなぐのが新たな仕事だ。出身地・長崎は戦国時代後期から江戸時代初期にかけてベトナムとの交易の窓口だった。

「人生最後の挑戦かな」。自分でそう言い掛けて、即座に「本音ではまったく、そう思っていませんよ」と破顔一笑した。アメリカの詩人サミュエル・ウルマンの詩「青春」にヒントを得た古巣の創業者・松下幸之助氏の「人生哲学」を座右の銘に、100歳まで走り続けるつもりだという。(ベトナム版編集・大塚卓也)


関連国・地域: ベトナム日本
関連業種: 電機建設・不動産マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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