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【アジアで会う】曺コウンさん toBeマーケティング・コリア社員 第354回 ソウル生まれ山梨育ちの若き懸け橋(韓国)

チョウ・コウン 1993年生まれ。韓国ソウル市出身。小学校卒業後、指輪職人の父について山梨県甲府市に移住。日本語を現地で1から学びつつ中学・高校時代を山梨で過ごし、早稲田大学国際教養学部に進学。卒業後はIT企業や転職支援会社などで経歴を積み、2018年にtoBeマーケティングに入社。同社の韓国進出に合わせて渡韓し、現地営業などを担当。今後は本職のIT関連業務を続けながら、韓国人の日本への転職支援や日本語教育などを構想中。

「インタビューは日本語でしましょう」――インタビュー冒頭、ネーティブと言っても過言ではない第一声に驚かされた。というのも、打ち合わせは全て、韓国語で行っていたためで日本語がそんなに流ちょうとは全く知らなかった。聞けば人生の半分以上を日本で暮らしていたという。

■父について山梨へ

曺さんの生まれは韓国・ソウル。小学校は現地の学校に通っていたが、中学校入学前に日本に渡った。「父親が仕事の関係で日本に行くことになり、私もついて行くことにしました」。母親と姉は韓国に残り、曺さんだけが父親と一緒に訪日した。

行き先は山梨県。「父が指輪職人で、山梨県は水晶の産地として有名。おじが現地に工場を持っていた山梨に行くことになった」そうだ。

現地では甲府にある中学と高校に通った。当時韓国で放映されていた日本のアニメーションで日本語に触れた程度で、訪日前はほとんど日本語が分からなかったという曺さん。学校の授業は全て日本語なので「完全にメンブン(頭の中が真っ白になる状態を指す韓国語)でしたね」と振り返る。

■生涯で一番勉強した時期

何もかもが手探りの現地での暮らし。言葉も通じず、友人もいない状況でも曺さんはめげない。「『このままではいけない』と思い、必死に勉強した。当時が一番勉強を頑張っていた時期だった」と振り返る。

その努力のかいあって、指定校推薦で早稲田大学国際教養学部に進学する。「英語の習得」や「留学を通じた海外経験」を目標とする同学部を選んだのは、「英語を学びたい」という気持ちと、国際関係への興味からだった。日韓についての考えや物事について視野を広げ、よりさまざまな方法で表現したいと思い英語を学び始めた。

曺さんは「日本人同士のいじめの現場などを見て自分にできることは何かを考え、『非行に走らせないために』をテーマに弁論大会にも参加しました」と話す。

■手探りの韓国業務

卒業後はIT企業や転職支援企業などで経歴を積んだ。その一方で、母国韓国で「日本での経験を試したい」という気持ちも芽生えていった。そんな折に、toBeマーケティングが韓国事業の展開に向けた社員を募集していることを知る。「私にとっても会社側にとってもタイミングがよかったですね」と話す。

toBeマーケティングでは、通常の業務に加えて韓国進出に向けた準備、現地のパートナー企業とのコミュニケーションなど激動の毎日を送った。苦労のかいあって、toBeは無事に韓国進出。曺さんも19年上半期に念願の韓国帰国を果たした。

ただ、母国での業務でも容易ではなかったようだ。まず苦労したのが言葉の言い回しだった。

「日本でのビジネス経験しかなかったので、メール1つ書くにも最初と最後のあいさつをどう書けばいいかとても悩みました。グーグル検索して送ると、先方から『すごく丁寧でとまどいました』と話をいただいたこともあります」

また、仕事の進め方に日韓で大きな違いがあることも知らされた。

「私自身は段取りなどをきっちり決めてから業務を進める性格ですが、韓国の顧客は何の前触れもなく『これをお願いします』という依頼が来ることも多く、初めは慣れないこと続きでした。提供するサービスも業務の進め方が違う韓国では次第に『これは難しいね』という反応が増えてきて、日本本社にパッケージ化のカスタマイズの必要性を説得するなど、日韓の間に挟まれて大変でした」

■日韓そして人と関わる仕事を

現在は完全なテレワークで業務を行っている曺さん。コロナ収束後に日本に戻るかは「五分五分ですね」という。「もっと家族と過ごしたいという気持ちと、これまでのキャリアを積んだ日本で仕事を続けたいという気持ちが交錯している」そうだ。

どちらを選択しても彼女にはしっかりとした目標がある。まずは培ってきた経験やノウハウを生かすこと。「現職のつながりでデータを活用した海外マーケティングやデータ分析のアナリストなどにも関心が出てきた」と話す曺さん。空いた時間でその関連の勉強をし、次のステップアップを目指す。

また、本職と並行して「個人で韓国人の日本への転職を支援する活動や日本語教育も行いたい」という。動画投稿サイト「ユーチューブ」などを活用した方法などを模索している。「これまでに、ユーチューブを使ったパートナー企業のセミナーでプレゼンをしたことがあり、その経験を生かせれば」と、曺さんは語る。若き日韓の懸け橋の今後の活躍に期待したい。(韓国編集部=清水岳志)


関連国・地域: 韓国
関連業種: 社会・事件

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