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【インフルエンサーinアジア】K―POP解説に業界も注目 アイドルの奥深さを広めたい くろ局長(日本)

SNSで多数のフォロワーを持ち、強い影響力を持つインフルエンサーが注目を集める昨今。そんな彼・彼女たちの中から、日本とアジアをつなぐインフルエンサーをご紹介。(取材=NNA東京編集部 古林由香)

高校卒業後、キャバクラの黒服として勤務後、通信関係の会社に就職し営業を担当。22歳の時に通信関連の会社を設立し独立。現在は、ユーチューバー活動と並行して、貿易ブローカーの業務を行っている。「夜の世界に憧れて黒服になったんですが、その時の経験は営業マン時代の経験と共にユーチューバー活動でも役立っています」。K-POPはBIGBANGをきっかけにファンになり、愛聴歴10年目(くろ局長提供)

高校卒業後、キャバクラの黒服として勤務後、通信関係の会社に就職し営業を担当。22歳の時に通信関連の会社を設立し独立。現在は、ユーチューバー活動と並行して、貿易ブローカーの業務を行っている。「夜の世界に憧れて黒服になったんですが、その時の経験は営業マン時代の経験と共にユーチューバー活動でも役立っています」。K-POPはBIGBANGをきっかけにファンになり、愛聴歴10年目(くろ局長提供)

ここ最近、日本語で情報を発信するK―POP系ユーチューバーが多く活動しているが、その中でも高い知名度を誇るのが、埼玉県在住の日本人ユーチューバー、くろ局長だ。

YouTube:サランピTV〈SaranpiTV〉18万2,000人(登録者数。以下同)
Twitter : KUROYOUTE 4万5,000人
※登録者(フォロワー)数は21年6月23日現在

YouTube:サランピTV〈SaranpiTV〉18万2,000人(登録者数。以下同) Twitter : KUROYOUTE 4万5,000人 ※登録者(フォロワー)数は21年6月23日現在

自身のチャンネル「サランピTV」を開設したのは2019年1月。きっかけとなったのは、人気女性グループTWICEの日本人メンバー、モモの存在。ファンとして彼女の温かい人柄に触れるうち、「自分も人にいい影響を与えられる存在になりたい」と開眼したという。アイドルへの愛の光をともし、K―POPの魅力を伝えたいと、チャンネル名に冠したのは韓国語で“愛の光”を意味する言葉。貿易会社を経営する傍ら、旺盛なユーチューバー活動を続けている。

K―POPの最新動向について分析を交えて伝えるチャンネルは、ずばっと斬り込むコメントが売り。“炎上”を招くこともしばしばだが、それをもエネルギーにし、この2年半で投稿本数は1,350本超。登録者も18万2,000人を超え、業界人も注目するチャンネルとなっている。

――「サランピTV」のチャンネル登録者の属性は?

女性が8割で、年齢的には18~24歳が一番多く、次に20代後半から30代半ば。40代、50代の方も結構いらっしゃるんですが、どんどんチャンネルを変える若い視聴者と違い、見始めたら最後まで見てくれて、視聴者維持率(視聴者がどのくらいの時間動画を見続けたか測る指標)がとても良いという特徴があります。

――ターゲットは?

僕は一貫して社会人オタクに向けて発信しています。なぜ社会人かというと、アイドルについてエンタメビジネスとして議論できるチャンネルにしたかったんです。

僕がはっきり言ったことに対して、視聴者が動画のコメント欄に自分たちの意見を書き込む。前の作品と違ってここはこうみたいなことを僕と視聴者がそれぞれしっかりと発言して、エンタメを消費する側のセンスを磨く場になる、というのが理想です。

若いファンだと、どうしても「かっこいい」「かわいい」で終わってしまいますが、社会人になってくると、アイドルに対していろんな疑問を持ったり、考えたりするようになる。ということで社会人をターゲットにしています。

それと同時に、K―POPビギナーの方にも僕らの議論を楽しんでもらい、「アイドルってこんなに奥深いんだ」というのを感じてもらいたい。イメージ的には議論好きの層が4割、ライト層が6割という感じでやっています。

――コメント欄での応酬が延々とあったり、反論がきたり、議論好きのオタクは面倒では?

僕自身が面倒なオタクなんです(笑)。同じような議論好きな面倒なオタクが集まって、わちゃわちゃするのは、一つのアイドルの楽しみ方だと思っています。

僕が一番嫌いなのが、アイドルが何をしても「正解」とすること。アイドルが一生懸命作った作品だからといって盲目的に評価するのはすごく失礼な気がするし、そうしていたら業界は衰退する一方ではないかと。

そういった意味で、良し悪しをはっきり言う僕らみたいな存在がエンターテインメントをより高みに上げられると思っていますし、やりがいを感じています。

韓国の芸能事務所を解説した動画は、再生回数89万回(21年6月時点)で「サランピTV」内で最多。テンポのいい関西弁トークで一気に聞かせる。「主婦層の視聴者が多いこともあり、家事の合間にユーチューブを流すことを想定して動画を作成しています。ですので、トークがメインで、テロップや画像も入れ過ぎないようにするのがポリシー。試行錯誤しながらこのスタイルになりましたが、結果として作業効率もアップしました」

韓国の芸能事務所を解説した動画は、再生回数89万回(21年6月時点)で「サランピTV」内で最多。テンポのいい関西弁トークで一気に聞かせる。「主婦層の視聴者が多いこともあり、家事の合間にユーチューブを流すことを想定して動画を作成しています。ですので、トークがメインで、テロップや画像も入れ過ぎないようにするのがポリシー。試行錯誤しながらこのスタイルになりましたが、結果として作業効率もアップしました」

https://youtu.be/8EgR54Kk2kI

■僕とくろ局長は別の人物、炎上も“仕事”と割り切る

――平均的な1日のスケジュールは?

朝8~9時ぐらいに起きて、午前中はニュースのチェックや勉強がてらユーチューブを見たり、貿易の仕事の事務作業をこなします。昼食後にユーチューブの作業を開始。K―POP関連のニュースを1~2時間リサーチしながら何を取り上げるか考えて、まず1本目を撮影。すぐに編集後、投稿をして、夕飯を取ってから2本目を撮影し、投稿。遅い時だと深夜2時、早い時でも深夜0時ごろまで作業をしています。

――その合間にも、ツイッター上でK―POPファンからの質問に答えたり、スペース(音声を使いリアルタイムで複数人とやりとりできる機能)でフォロワーとディスカッションをしたり、かなり多忙では?

そうですね。ほとんど休みなくやっています。僕が意識しているのは、K―POPかいわいで何かが起こったとき、「局長ならどんな見解を持つんだろう」と僕のことをまず思い浮かべてもらうこと。ですので、リアルタイムでどんどん発信することを心掛けています。

――レコード会社や芸能事務所に向けて、アイドルの待遇改善を訴えたり、作品の方向性などの持論を展開する“ご意見動画”も数多く投稿していますが、リアクションはありますか?

会社や事務所から直接、反応をいただくこともあるにはありました。いい反応もあれば、当然悪い反応もありましたね(苦笑)。でも、言論の自由があるという前提で、営業妨害にならない範囲で発言させてもらっています。

――「サランピTV」やユーチューバーとしてのご自身の強みは?

議論できるチャンネルということと、メンタルの強さだと思います。アイドルに物申せば絶対荒れますし、オタクの熱量は高いので、僕に飛んでくる矢の量も多い。普通の人だったら耐えられないかと。僕とオタクの応酬を一つのエンタメとして成立させるために、自分自身のメンタルをケアしながらやっています。

動画のコメント欄も強みですね。視聴者同士、そして僕との議論の場としてもらうことで、僕の話以上にコメント欄が面白くなるんです。例えば「Yahoo!ニュース」って記事自体を読まなくてもコメント欄を見れば内容が分かって、気になっていたことが解決するじゃないですか。それが僕のチャンネルでも応用されています。

――メンタルのケアはどのように?

自分自身とくろ局長は別の存在とすることを一番大事にしています。炎上しても、「僕自身は炎上していない。くろ局長が炎上している」と。僕自身は割と温厚な性格で、動画で見せているキャラクターとは結構違うというのもあるんですが、くろ局長の時は仕事だから何を言われてもしょうがない、と思っています。

ただ、基本的にポジティブなので、注目されている限りでは批判されるのも嫌いじゃないですし、いつ何時もたたかれる環境にいるという緊張感は、活動する上でプラスの要素になっています。僕の発言について、視聴者の方から学ぶべきことや改善点を指摘されることも多いので、そこでめげずに、自らの成長へとつなげるようにしています。

個人的に気に入っているというのが、ガールズグループfromis_9(プロミスナイン)の楽曲を紹介した動画。「僕がメンバーとして参加しているように編集したんですが、しれっとおじさんが混じっているのが面白かったと思います(笑)。普段は議論をしたり、辛口動画が多いので、たまに笑ってもらえる動画作ってメリハリを付けつつ、嫌いだけど憎めないぐらいの立ち位置になれたらいいなと思っています」

個人的に気に入っているというのが、ガールズグループfromis_9(プロミスナイン)の楽曲を紹介した動画。「僕がメンバーとして参加しているように編集したんですが、しれっとおじさんが混じっているのが面白かったと思います(笑)。普段は議論をしたり、辛口動画が多いので、たまに笑ってもらえる動画作ってメリハリを付けつつ、嫌いだけど憎めないぐらいの立ち位置になれたらいいなと思っています」

https://youtu.be/eWK2ddt3h7g

■ユーチューバー=いい稼ぎ?でもお金のためは少数派

――ユーチューバー活動を仕事にすることの良さと、苦労を感じる点は?

自分が好きなことを仕事としてできるのは、ユーチューバーの特権だと思います。このご時世、外に行かなくていいのも大きな利点ですし、人間関係がないのも非常に楽です。

社会人を経験したから分かるんですが、ユーチューバーとサラリーマン、どっちがしんどいかと言うと絶対サラリーマン(笑)。なので大変だと思うことは基本ないですね。

――ユーチューバー活動で得られる平均的な月収は?

ファミリーカー1台分ぐらいです。ユーチューバーの活動自体は決して楽ではありませんが、労働量に比較してかなりもらっていると感じています。でも、収入が人気に比例するのは、芸能人やスポーツ選手など、ほかの業界でも一緒ですよね。

ユーチューバーは稼いでいるというイメージがあるせいか、よくお金の話を聞かれるんですが、成功している一部が稼いでいて、稼ぎ0円の人もたくさんいるのが実情。ユーチューバー全体を平均すれば、労働に対する収入は普通だと思います。

ただ、僕よりもっとすごいユーチューバーを含めて、お金のためにやっているって人って少数派ではないでしょうか。むしろ売れてないユーチューバーの方が、お金のためにやっている気がします。

「サランピTV」立ち上げのきっかけとなったアイドル、TWICEモモとの思い出を語った動画。韓国でのサイン会で撮影した動画と、その時の感動エピソードで構成。「僕、最近結婚したんですが、子どもが生まれたら家族を連れてまたモモちゃんに会いに行けたらいいですね。ただ、TWICEに関しても結構辛口の動画を出しているので、もし見ていてくれたとしたら僕のイメージはだいぶ下がっているはず。なのでそこは慎重にやろうと思います(笑)」

「サランピTV」立ち上げのきっかけとなったアイドル、TWICEモモとの思い出を語った動画。韓国でのサイン会で撮影した動画と、その時の感動エピソードで構成。「僕、最近結婚したんですが、子どもが生まれたら家族を連れてまたモモちゃんに会いに行けたらいいですね。ただ、TWICEに関しても結構辛口の動画を出しているので、もし見ていてくれたとしたら僕のイメージはだいぶ下がっているはず。なのでそこは慎重にやろうと思います(笑)」

https://youtu.be/txLxR5cW6Mc

――今後の目標は?

以前は、アイドルをプロデュースすることを目標にしていたんですが、新型コロナウイルス感染症の混乱が続く今の状況で挑戦するのはリスクが大きすぎると考え、現時点ではその欲はありません。

今考えているのは、これを言うと笑われるんですけれど(笑)、アイドルオタクの未婚・少子化問題って、結構大きなことだと思っていて。アイドルのファン、特にK―POPが好きな層は韓国の美容などにも興味を持っていて、きれいな人が大勢いるのに、恋愛から遠ざかっているケースが珍しくないんです。

それで、オタクが趣味と恋愛を両立して楽しめるようなサービスがあればいいのにと考えて、オタク活動をしている男女をマッチングできるようなビジネスを構想中です。課題が多く実現できるかは分かりませんが、僕自身、“恋愛”というワードが好きなので 、好きなことを仕事にするということにもう一歩近づけるかなと思っています。

くろ局長からNNAカンパサール読者へメッセージ

https://youtu.be/0QvUj9NWlOQ

※特集「インフルエンサーinアジア」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2021年7月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 韓国日本
関連業種: メディア・娯楽社会・事件

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