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「ワクチン接種すべきか」、悩む在留邦人

2月から新型コロナウイルスのワクチン接種が進むカンボジアで、在留邦人が接種するかどうかの判断に頭を悩ませている。首都プノンペンを中心に感染が急拡大する一方、接種できるワクチンは日本政府が承認していない中国製となるためだ。安全性に懸念は残るものの、少しでも感染リスクを減らそうとワクチンを打つ選択をした邦人もいる。

ワクチン接種会場で順番を待つ人々=8日、プノンペン(提供写真)

ワクチン接種会場で順番を待つ人々=8日、プノンペン(提供写真)

「レッドゾーンの住民全てに、15日までにワクチン接種を実施する」。フン・セン首相は5日、感染拡大が深刻なプノンペンでのワクチン接種を加速すると明らかにした。まずは外出制限など厳格な対策を講じる「レッドゾーン」から着手し、段階的にプノンペンのその他の地域や、隣接するカンダル州での接種態勢を強化する方針を表明した。地元紙によると、1日から8日までに、ミエンチェイ区やポーセンチェイ区など5つの区で35万人以上がワクチンを打った。

急ピッチで接種が進む中、現地に住む日本人からは、「中国製ワクチンは安全性に懸念が残る」との声が上がる。カンボジアで接種できるのは、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)と中国医薬集団(シノファーム)製のワクチンが中心。現地の日本人コミュニティーでは、日本政府が承認していないワクチンを打つことへの不安が広がっているという。

歯止めの効かない感染拡大を前に、ワクチン接種に踏み切る邦人もいる。「以前は接種すべきか迷っていたが、足元では感染者や死亡者がどんどん増えている。ワクチンを打って、少しでも感染リスクを減らして身を守りたい」。8日にシノバック製ワクチンを接種した日本人女性は、そう胸中を打ち明ける。

女性によると、当日は会場に早朝から並び、順番を示す番号札を受け取ってから約3時間後に接種を受けた。直前の問診はクメール語のみの対応だったため、同行したカンボジア人に通訳してもらう必要があったという。副反応はなく、2週間後に2度目の接種を受ける予定だ。

カンボジア日本人会によると、現時点で在留外国人のワクチン接種は任意だが、在留邦人からは「(行政の担当者などから)ワクチンを打つよう強要されている」との報告を複数受けている。同会は、「在カンボジア日本大使館を通じてカンボジア当局に確認したところ、ワクチン接種はカンボジア政府により推奨されてはいても、義務にはなっていない」と説明。接種を希望しない人が当局に意思表示できる文書をクメール語で作成し、ウェブサイトに掲載している。

同会はまた、ワクチンの注意事項として、「カンボジア政府からは、ワクチンの副反応に対する補償はない」と指摘。自己責任で接種すべきか判断するよう呼び掛けた。

カンボジアのワクチン調達ではこれまで、シノファーム製170万回分、シノバック製250万回分、英製薬大手アストラゼネカなどが開発し、インドの地場セラム・インスティテュート・オブ・インディア(SII)が生産する「コビシールド」32万4,000回分の、計450万回分を確保。月内にはシノバック製ワクチン150万回分が追加で到着する見通しだ。政府は2021年中に1,000万回分の接種を完了させる計画で、追加のワクチン調達に向け調整を進めている。8日時点で計171万8,708人が接種を受けた。

カンボジアでは新型コロナの感染状況が落ち着いていたが、2月下旬にプノンペンで発生したクラスター(感染者集団)を発端に、市中感染が拡大。感染力が強い英国型変異株が確認され、その後も市場や縫製工場などでクラスターが相次いだ。累計感染者数は2月上旬の500人以下から、5月11日には2万人を超えた。死者は130人以上となった。

政府は4月15日から5月5日まで、プノンペンとカンダル州タクマオ市をロックダウン(都市封鎖)し、感染の封じ込めを実施。ロックダウンは終了したが、19日まではエリアをレッドゾーンなど3種類に分け、厳格な感染対策を継続する計画。1日の感染者数は一時約1,000人まで増えたが、現在は500人前後と減少傾向にある。


関連国・地域: 中国カンボジア日本
関連業種: 医療・医薬品社会・事件

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