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【オセアニア在外公館便り】第16回 ケアンズ領事事務所 QLD州最北の島々、木曜島

前回の寄稿(第5回「自然豊かな国際観光都市」)から5カ月が経ちました。今回は、当事務所が管轄している北クイーンズランド州(FNQ)最北の地域を紹介したいと思います。【内田晃・前ケアンズ領事事務所長】

■200年前の日本人の足跡

クイーンズランド州北部、オーストラリア全体から見ても北東部に尖った岬があります。まるで角のような形をしており,オーストラリア全体の特徴でもありましょう。

この地域一帯はヨーク岬半島と呼ばれています。その多くが熱帯雨林で一部に先住民居住区があります。それ以外の半島の大部分には人は住んでいないと言われています。このヨーク岬の更に北側にトレス諸島があります。トレス海峡を隔てた反対側はニューギニア島でパプアニューギニア(PNG)があります。

最短の箇所で、PNGとの間隔は4キロ程度と言われています。このトレス諸島の島の一つに木曜島(Thursday Island)があります。

この木曜島周辺はかつて、高級ボタンの材料の白蝶貝の生息地であり、また真珠貝の生息地で真珠を採取するための本拠地が木曜島にありました。

木曜島にはかつて7,000人近い日本人が住み、島の人口の半分近くが日本人だったという時期もありました。

これらの日本人は1800年代に白蝶貝を求めて渡ってきた潜水夫たちです。1897年には1,000人を超えていました。木曜島に渡った多くの日本人は和歌山県の串本町の出身者と言われています。これらの多くの潜水夫は高い賃金を求めて渡航したものの、潜水病や潜水中の事故によって約700人の日本人が亡くなられています。

■日本人墓地

今では当時の名残りは、木曜島にある700基近い墓標のある日本人墓地に過ぎません。

大東亜戦争の開始により、多くの日本人が帰国を余儀なくされ、またはオーストラリア国内の収容所に抑留されました。島には砲台も設置されました。

戦後、プラスチック製のボタンが普及したため、貝殻の需要は激減し、また、1969年にトレス海峡で発生したタンカーの座礁事故によって流出した油によって海洋が汚染され、真珠貝の採取や真珠貝の養殖業は衰退しました。

木曜島の日本人墓地は明治30年代から40年代のものが多く、長年の風雨により劣化が進み、日本政府は地元のトレス・シャイアと協力しながら、日本人墓地の整備を行っています。

2019年に約6万8,000豪ドル(約578万円)の資金援助を行って、400カ所の墓標整備を行いました。今年度もさらなる墓標の整備を行うべく、第2期工事が行われています。

木曜島に行くには、ケアンズ空港からプロペラ機に乗って木曜島の東にあるホーン島(Horn Island)に向かいます。空港からバスでフェリー乗り場に向かい、そこからフェリーで木曜島に向かいます。

■司馬遼太郎も訪問

木曜島は知る人ぞ知る島で、かつて作家の司馬遼太郎氏は1970年代後半に木曜島を訪問しており、後に「木曜島の夜会」という本を著しています。司馬遼太郎氏は、1907年に和歌山県で生まれ、18歳で木曜島の真珠ダイバーをしていた藤井富太郎氏に出会っています。「木曜島の夜会」に出てくる主人公のモデルと言われています。

■串本町との姉妹都市関係

2007年2月、当時のトレス市長から和歌山県串本町に姉妹都市提携をしたいとの要望書が届き、同年10月に串本町長を団長とする墓参団がトレス市に派遣されました。

その後2011年12月にトレス市長一行が串本町を訪問し、友好都市宣言の合意文書が調印されています。約200年の時空を超えた日本とオーストラリアとの絆に認識を新たにするばかりです。

<次回掲載の5月24日はメルボルン総領事館が担当します。お楽しみに>


関連国・地域: オーストラリア日本
関連業種: 政治社会・事件

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