中国によるオーストラリアへの投資額が、2020年に約10億豪ドル(約826億円)となり、前年比で61%急落したことが分かった。投資件数は20件となり、投資額が160億豪ドルでピークとなった16年時点の111件と比べると大幅に縮小した。両国間の関係悪化や新型コロナウイルス流行による打撃など、複数要因が絡み合った結果とみられるが、特にオーストラリア連邦政府による外国投資規制強化が最大の影響を与えたとみられている。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)などが伝えた。
オーストラリア国立大学の調査によると、昨年の投資額10億豪ドルのうち、86%は中国企業のオーストラリア子会社によるものが占めており、直接投資ではなかったという。また投資先の業界は、不動産(4億6,100万豪ドル)、鉱業(4億4,100万豪ドル)、製造(1億5,300万豪ドル)に集中している状況だ。
同大学の東アジア経済研究局のディレクターを務めるアームストロング氏は「中国からの活発な投資がなければ、オーストラリアは資金源を失うことになり、資産価値の低下にもつながる」と指摘。経済低迷期において、国内資産が買収されることを阻止する行為は、経済回復にとって逆効果になり得ると主張した。
オーストラリアでは今年に入り外資買収改正法が施行され、投資額の大小に関わらず、国家安全保障の観点から重要とされる土地や事業に対する外国投資について、連邦政府による審査が行われている。
■中国人留学生、23%減少
豪中関係の悪化による影響は教育部門にも及んでおり、オーストラリアの大学への中国人留学生の入学数は、過去1年間で23%減少した。
中国の留学事業者は、中国政府よりオーストラリアの教育機関をあっせんしないよう指示されているとみられ、今年の留学生数はさらに激減する恐れがありそうだ。
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