ミャンマーで、クーデターに抗議する市民不服従運動(CDM)の激化により、銀行業務の中断が続いている。地場大手行の支店が閉鎖となり、現金不足に陥る企業が出てきたもようだ。オンラインバンキングは稼働しているが、人の手による作業が部分的に必要な決済はできなくなっている。口座を持たない就労者への給与支給にも支障が出そうだ。
ミャンマーでは、1日のクーデター発生後、業務を放棄することで国軍当局に圧力をかける市民不服従運動(CDM)が拡大している。
CDMは、さまざまな事業分野に及んでいるが、銀行業界は参加者が医療関係者に次ぎ多いとみられ、地場カンボーザ(KBZ)銀行、協同組合銀行(CB)、エヤワディ銀行(AYA銀行)など民間大手3行を含め、ほぼ全ての銀行の店舗が営業していない。
最大都市ヤンゴンのミャンマー中央銀行前では連日、CDMに参加する銀行員の大規模デモが行われ、各行ともに、店舗を通常通りに再開できる見通しが立たないままだ。
金融業界の関係者によると、現在、地場銀行間の決済はほぼ停止している。中央銀行のシステムが稼働していることで、外国銀行から地場銀行への送金はオンラインで行えているが、地場銀行に入った資金を振り込み先の口座に移動する手続きが人員不足で進まず、送金が完了しない状態が続いているという。
各行は店舗の閉鎖後も、インターネットバンキングによるオンライン取引をできるようにしている。ただ、国際機関によると、ミャンマーの銀行口座普及率は25%程度にすぎない。現金決済で取引を行う中小企業(SME)は、銀行の窓口で取引先に送金したり、現金を引き出して取引先に支払ったりするケースも多いが、全て停止している。
口座を保有しない労働者が多い工場などでは、給料を現金で支給することも多く、銀行の閉鎖がこのまま続けば、支障が出る恐れもある。
■国軍系銀行、現金引き出しで顧客殺到
多くの銀行が支店の閉鎖を含め業務を大幅に縮小する中、国軍系複合企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)傘下のミャワディ銀行は15日に営業を再開した。しかし、預金を引き出だそうと連日、顧客が殺到している。
同銀の本店は混乱を避けるため、シャッターを降ろし利用者数を限定して営業を継続。公務員のアウン・テイさん(62)は2日連続で早朝4時から並び、600万チャット(約45万円)を引き出した。「まだ十分ではないし、いつお金が引き出せなくなるか分からない」と不安を口にした。
ビジネス街のヤンゴン・ダウンタウン地区などでわずかに営業を続ける国営銀行には、デモ隊が押し寄せ、CDMへの参加を迫っている。地元メディアによると、国営銀行の一部では、支店で現金を引き出せる人数を1日60人、金額の上限を1人100万チャットに限定した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。