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重要な1年、対米関係が左右=三菱UFJ

三菱UFJ銀行ハノイ支店・ホーチミン支店は26日、2021年のベトナム経済と金融市場に関するオンラインセミナーを開催した。同国は昨年、新型コロナウイルス対策に追われながらも輸出と経済のプラス成長を維持した。ただ、対米貿易黒字の急拡大に伴い米国から「為替操作国」と認定され、国内では金融などの政策転換が迫られる。経済復調に向けて対米関係などでかじ取りができるか、重要な1年になるという。

ハノイ支店・ホーチミン支店トレジャリー課の藤代和彦氏は「昨年の対米貿易黒字額はベトナムが初めて日本を上回った見込みだ」と指摘した。米中貿易摩擦に伴う中国からの生産移管もあり、ベトナムの対米輸出は昨年、2桁成長を維持した。

ベトナム統計総局(GSO)の発表によると、20年の対米貿易収支(速報値)は634億米ドル(約6兆5,800億円)の黒字となり、黒字幅は前年比35%増となった。輸出額は26%増の771億米ドル、輸入額は5%減の137億米ドルだった。米商務省の発表では、昨年1~9月の貿易赤字額は対ベトナムが495億米ドル、対日本が370億米ドルだった。

米国は◇対米貿易黒字200億ドル以上◇経常収支の黒字額が対名目国内総生産(GDP)比2%超◇為替介入の対名目GDP比2%超――を為替操作国とするかどうかの基準としている。「(保護主義に偏った)『トランプ政権の置き土産』との見方もあるが、3項目全てに接触していることがベトナムの為替操作国入りの理由とみている」(藤代氏)。

■ドン高容認、2.3万ドン割れも

藤代氏は、米国からの現地通貨高圧力を受け、今年は対米ドルでドン高が進行すると見込んでいる。米国のバイデン新政権との外交・通商政策次第で、1米ドル=2万3,000ドンを割る可能性があるとみている。18年に2万3,000ドン台となり、20年3月には過去最安値の2万3,650ドンを記録していた。

「ベトナムドンは切り下げの歴史で、対米ドルの実勢相場が下がるにつれてベトナム国家銀行(中央銀行)が介入レートを調整するというドン安誘導の政策がとられてきた」(藤代氏)。ベトナム中銀は、対米関係に配慮し、実質的にドン高を容認するようになっているという。

ベトナム中銀は今年初めから為替介入方法を◇レートを公表から非公表に変更◇売買対象を直物から6カ月先物に変更――していた。藤代氏は、同措置には急速な変化を阻止しつつも一段のドン高進行を容認し、ドン流通量の調整につなげる狙いがあるとみている。

同行の昨年末時点のドン相場予想レンジは、今年1~3月が2万3,000~2万3,150ドン、4~6月が2万2,900~2万3,050ドン、7~9月が2万2,850~2万3,050ドン、10~12月が2万2,800~2万3,000ドンとなっている。

■年後半の利上げを予想

昨年は世界協調利下げの年だった。ベトナムは経済成長を維持したものの、景気減速は避けられず、3回に分けて主要政策金利の再割引金利(リファイナンスレート)を計2.00%引き下げた。

藤代氏は「今年後半には金利引き上げが模索される」との見方を示す。昨年は「危機対応型」の金融緩和が相次いで打ち出され、通貨流通量がだぶついている。インフレやバブルを引き起こす懸念があり、中銀が金融政策の正常化を模索するとみている。

今年のGDP成長率が高水準に戻る見通しであることも利上げとみる理由だ。ベトナム政府は6.5%成長を目標としており、民間・金融機関の予測の中央値は7.7%とさらに高い。

対米関係や新型コロナウイルス感染症の再発の可能性など下振れリスクがありつつも、ベトナムがコロナ前の成長軌道に戻るシナリオがみえている。


関連国・地域: 中国ベトナム日本米国
関連業種: 金融マクロ・統計・その他経済

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