「院内感染」という文字を見ると、どうしても2003年の台湾での重症急性呼吸器症候群(SARS)流行を連想してしまう。それは台湾メディアも同様で、桃園市の病院で新型コロナウイルス感染症の院内感染が発生して以来、SARSの際に封鎖され多くの死者を出した和平医院の当時の映像をテレビで見かけるようになった。
閉ざされた窓に貼られた手書きのSOSや助けを求める人のまなざし、物々しく張り巡らされた立入禁止のテープを見ると、胸がえぐられるような気持ちになる。「二度と同じ悲劇を繰り返さない」「SARSの教訓を生かす」。コロナ発生後、多くの関係者がこの言葉を口にしたのもうなずける。
台湾人に刻まれた当時の記憶が、現在の防疫意識につながっている。あとは政府がどう拡大を食い止めるか。「世界一安全な場所」を称してきた台湾の手腕が試されている。(妹)
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