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【NNA景気指数】タイ 2021年第1四半期予測

※グラフは21年2月16日時点のタイ政府による経済統計を反映したデータです
下記文章は21年1月時点での速報値に基づいたデータにより作成されており、確報値である本グラフとは数値に違いが生じております。

※グラフは21年2月16日時点のタイ政府による経済統計を反映したデータです 下記文章は21年1月時点での速報値に基づいたデータにより作成されており、確報値である本グラフとは数値に違いが生じております。

■経済回復は踊り場に

・コロナ第2波で不透明感

・11月は経済指標が再び悪化

・外国人受け入れには時間

・家計債務増加の影響懸念

<経済アナリストの目>

タイの新型コロナウイルスの感染者数は、2020年12月末までに累計6,000人、死者60人で、他国と比較すると感染の抑制に成功している。しかし、現在でも海外からの帰国者や、限定的ではあるものの国内での感染が発生して増加している。20年3月26日に発令された非常事態宣言が現在も継続しているが、最近の感染増加に対応して、同宣言に基づき12月25日より集会の禁止等の措置を実施することになった。たたし、今回の措置は全国一律のロックダウン(都市封鎖)ではなく、感染状況を4段階に分けて各県ごとに対策を決めるとしている。

金融政策面でタイ中央銀行(BOT)は11月20日、外貨預金の限度額撤廃、外貨預金間の送金自由化、個人投資家による直接投資の限度額を500万米ドル(約5億2,000万円)に拡大するなどの措置を発表した。資金流出を促すとともに、流入を抑制して、為替相場の安定につなげる狙いがある。タイ証券取引委員会(SEC)も、海外証券のタイ証券取引所(SET)上場を解禁した。

タイの場合は12月のデータの開示日程の関係から、10~11月の2カ月間の平均で21年第1四半期の景気動向を見てゆく。タイの景気の状況を指標化するNNA CIは、10月まで6カ月連続で上昇し116.1をつけた。これは新型コロナ感染症の拡大が始まる20年1月のピークの119に次ぐ高い水準である。11月は全ての指標が小幅ながら悪化し、回復が踊り場にさしかかった状態にある。

景気の方向感を表すNNA DIは10~12月の2カ月平均で73.3%となった。この指標は、製造業生産、付加価値税収、自動車販売台数、輸入数量、要求払預金、記事センチメントの6指標のうち、いくつの指標が3カ月前から改善しているかを見るものである。この2カ月については付加価値税収が低迷しているほかは、総じて改善傾向にある。21年第1四半期のNNA DIは「薄日」のレンジにあり、コロナショックからの景気回復が続くことを示唆している。

NNAの記事が伝えるところによれば、19年の外国人旅行者は3,980万人だったが、感染症対策のため観光目的の入国が不可能となり、20年4~9月はゼロとなった。10月20日に7カ月ぶりに外国人旅行者の受け入れを再開したが、10月の外国人旅行者は1,200人、1~10月では669万人にとどまった。タイでは観光業が国内総生産(GDP)の12%を占めている。国家経済社会開発委員会(NESDC)は、21年に外国人旅行者が800万人に回復し、実質GDP成長率は3.5~4.5%になると予測している。アーコム財務相は、国内の観光業が感染症流行前の水準に回復するには4年を要すると述べている。

日本格付研究所 チーフアナリスト 増田 篤

<タイ編集部の目>

新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功し、主要産業である自動車を中心に回復傾向にあったタイ経済だが、20年末に新型コロナの流行の第2波が到来し、再び先行き不透明感が出ている。

タイ中央銀行は12月、今年のGDP成長率を前年比で3.2%とする予測を発表したが、第2波を受けて年明けには早くも下振れする可能性に言及している。

全国的に年末年始の各種イベントが中止され、消費の縮小ムードがただよう中、タイ政府は第2波の対策を発表。経済とのバランスを考慮し、20年3月の第1波で講じた一律のロックダウンではなく、感染状況に合わせて各県ごとに飲食店の営業時間短縮や娯楽施設の閉鎖などの策を講じている。

バンコクを中心にサービス業や外食産業への影響は懸念されるものの、工場の閉鎖措置などは取られていない。1月21日時点では、新規感染者が徐々に減少傾向にあるため、再び封じ込めに成功すれば、各業界が描いている複数のシナリオが最良のものになる可能性はある。

不動産市場では、不動産情報センター(REIC)がバンコク首都圏の住宅市場の見通しを、コロナの動向次第で3段階に分けて前年比10%減~10%増と予測。自動車市場については、タイ工業連盟(FTI)が1月20日に、21年の生産台数の見通しを前年比5%増の150万台と発表した。

政府は、第2波で影響を受けた人への支援対策として、7,000バーツ(約2万4,000円)の給付金支給や生活必需品購入費の半額を補助する「コーペイメント」事業を実施し、消費を下支えする。ただ、タイ商工会議所大学(UTCC)の調査では、20年11月時点の家計債務が1年で42%増加しており、第2波発生前の段階で家計への影響が広がっていることは懸念材料だ。

一方で、タイ経済の立て直しに必要となる外国人旅行者の本格的な受け入れ再開は、第1四半期もめどが立たない。観光業界は新型コロナワクチン接種者の優先入国も提案しているが、政府は国内の封じ込めを優先している状況だ。また輸出については、昨年末からバーツ高が再び進行し、今年に入って1米ドル=29バーツ台を記録する日が増えており、輸出競争力の低下が懸念される。

UTCCが景気回復は「政府の新型コロナ抑制の能力にかかっている」と指摘する通り、第1四半期での早期収束が極めて重要となりそうだ。

NNAタイ編集長 京正裕之

<本資料について>

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関連国・地域: タイ
関連業種: 自動車・二輪車電機食品・飲料マクロ・統計・その他経済

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