ミャンマー南部タニンダーリ管区で開発が進むダウェー経済特区(SEZ)の初期開発権を保有するタイの建設大手イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)は12日、ミャンマー政府から、契約終了通知を受けたと公表した。同SEZの計画は、ITDの資金難などで長期にわたり遅延している。
ITDが12日にタイ証券取引所(SET)に出した声明によると、昨年12月30日に通知を受けた。ミャンマー当局は、ITDが開発権に付随する契約料を支払っておらず、合意に基づく事業開始が見込めないと主張。ITDは、法律顧問による文書を作成し、反論すると表明した。
ダウェーSEZの開発をめぐっては、ミャンマー軍政時代の2008年、当初の開発権を与えられたITDが資金調達に失敗。開発が進まず、いったん合意が破棄された後、ミャンマー、タイ両政府の案件として仕切り直され、15年にあらためて、ITDに第1期(27平方キロメートル)の初期開発権が与えられていた。日本は同年から政府間協議に加わっており、オブザーバー的な立場で協力を続けている。
ITDの事業に具体的な進捗(しんちょく)が見られない状態が続いたことから、ミャンマー当局は、第1期と並行して第2期(本格フェーズ)を進める方針を固め、日本に計画への正式参加を依頼。日本側は昨年11月、まだ固まっていない第2期以降の計画策定を含め、事業協力に踏み込むことを決めた。
ダウェーSEZの開発予定面積は、全体で197平方キロ。工業団地や深海港のほか、同特区とタイを結ぶ高速道路などの建設が計画されており、中国の国営企業も投資に意欲を見せてきた。ミャンマー側には、ITDを事業から排除し、かねて協力を求めてきた日本を含む、外国企業の積極的な関与を促したい思惑があるとみられる。
ミャンマーにはダウェーを含め4カ所のSEZ計画があるが、日本が官民で開発を進める最大都市ヤンゴン近郊のティラワだけが開業済みだ。
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