【20年の10大ニュース】新型コロナに翻弄された1年
2020年の香港は、新型コロナウイルスの感染拡大で生活が一変した。年前半は感染者数の増加に歯止めが掛かっていたものの、夏以降は2度の流行に見舞われ、社会・経済活動は大きな制約を受けた。
地場経済は深い傷を負った。域外からの入境者に隔離が義務付けられ、非居住者の空路入境は禁止となり、香港の消費を支えてきた中国本土客の姿が消えた。目抜き通りでも空き店舗が増え、失業率は悪化した。本土有力企業の株式上場が相次ぎ金融センターの面目は保たれたが、20年の香港経済は過去最悪の落ち込みとなる可能性が高い。
政治・社会面も転換点を迎えた。中国主導の香港国家安全維持法が施行され、19年後半から続いた抗議活動は減少。一方でトランプ米政権は香港に認めてきた優遇措置を取りやめることを決めた。
香港政府は景気浮揚に向けて中国との経済協力を一段と強める構えだ。ただ、新型コロナの収束は見通せず、本土との往来再開はめどが立っていない。感染の抑え込みと社会・経済活動の両立という難題を抱えたまま、コロナとの闘いは2年目を迎える。