英金融大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)は、中国広東省と香港、マカオからなる「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」で地域間の金融制度や金利水準、為替レートなどの違いを生かした金融市場業務の強化を進める。金融市場グローバルエリア責任者である陳銘僑(ジョン・タン)氏が、2021年に向けて人材などの重点的な配置を進める方針を示した。23日付星島日報が伝えた。
陳氏は「今年は米大統領選や米中摩擦、新型コロナウイルス感染症の流行などによる不確実性が市場のボラティリティ(変動性)を高め、金融市場業務の追い風になった」と指摘。来年以降も米ドルの下落傾向が続く中でアジア通貨には潜在的に上昇の余地があること、中国が資本市場の開放を進め、引き続き香港経由で中国本土向け資金流入が続くと見込まれることなどを挙げ、この地域での金融市場業務の拡大余地は大きいとの見方を示した。
陳氏は、大湾区の金融市場分野におけるスタンチャートのシェアは今のところわずかだとした上で、「逆にいえば当行には大きな成長空間が広がっているということだ」と述べ、人材の配置を強化する考えを表明。関連業務の強化に向け、香港と広東省深セン市に設けていた組織を統合し、成長性のあるスタートアップ企業などへのサービスにも力を入れる方針を示した。
スタンチャートは大湾区での業務拡大に向け、広東省広州市で4,000万米ドル(約43億円)を投じて地域統括拠点を設置する方針を今年7月に発表。同拠点は年内に営業を始める予定だ。
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