日野自動車のベトナム法人、日野モータース・ベトナム(HMV)は3日、首都ハノイのトゥイロイ大学(水利大学)にディーゼルエンジンを寄贈した。日本でもベトナム人材を活用しており、ベトナムの各大学との協力関係を深化させ、優秀なエンジニアの確保を進める。
寄贈したエンジンは、中型トラックなどに使われるコモンレール装備のJ08E型。機械工学部の授業に使われる。
トゥイロイ大のチン・ミン・トゥ学長は「毎年約5,000人が入学しており、機械工学部は1,000人を占める」と説明した。近年は日系企業の進出も増えており、現地の日系メーカーや日本で活躍する人材輩出に向けてカリキュラム改善を進めていく方針を示した。
日野モータース・ベトナムの武藤貴史社長は「トゥイロイ大学は(機械工学部の中で)自動車工学に力を入れている」と話した。エンジンの提供を、パートナーシップ関係の強化の契機とする考えを示した。
総合人材サービスのワークスタッフ(徳島市)の現地法人、ワークスタッフ・ベトナムの山部剛社長は「トゥイロイ大はガレージでの実習や1年生からの日本語教育などを進め、先端技術の取り入れにも力を入れている」と指摘。ワークスタッフはベトナム人高度人材約300人を採用し、日本の各社に派遣している。自動車や電機・電子などの業界で、ベトナム人エンジニアの活躍の場が広がっており、日野も顧客となっている。
■コロナ禍も販売好調
ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、日野モータース・ベトナムの1~9月の新車販売台数は前年同期比27%増の2,113台だった。VAMA全体が乗用車を中心に2割以上落ち込む中、プラス成長を維持している。
ベトナムは新型コロナウイルスの抑え込みに成功しており、「感染拡大の第1波が収束した5月中旬には事業活動が通常に近い状態へと回復した」(武藤氏)。国際的な移動も回復に向かっており、ワークスタッフ・ベトナムは来年、停滞していたベトナム人の日本派遣を増やす方針だ。
日野モータース・ベトナムは、6日には、ハノイの運輸交通大学にもエンジンを寄贈する。
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