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【アジアで会う】植田俊和さん ディスカバリーツアー営業本部長 第318回 「がむしゃら」に生きる(フィリピン)

うえだ・としかず 1967年、栃木県出身。子どものころから英語を話す環境にいたことを生かし、高校卒業後に渡米。帰国後、添乗員や旅行会社に務めた。2002年にフィリピンの地を踏み、旅行業に従事しながら日系企業の出張手配など仕事に追われていたが、新型コロナウイルスの影響で業務が急減している。

ぶっきらぼうな表情と鋭い目つきから怖がられることもあるが、従業員には警戒されないよう親しみを込めて接することを心掛けている。フィリピン歴は18年だが、タガログ語は片言止まり。長年慣れ親しんだ英語がビジネスに生きている。

ディスカバリーツアーはマニラ首都圏を中心に、中部セブ、南部ダバオにも支店を構え、老舗の総合旅行代理店として日系企業などに知られる。ローカルの従業員は70人以上。全ての部門を統括しているため、今年初めまで部下への指示出しや取引先との会議に追われていた。

2月以降、世界で猛威を振るい始めた新型コロナはその忙しさを全て奪い去った。政府が外国人の入国や旅行関連業の営業を制限したため、コロナ前に比べて業務は9割減少。日本からの出張者のアテンドや駐在員家族の旅行の手配の依頼もパタッと止まった。

「2023年の修学旅行をお願いしたいんだけど」。取引先からは見積もりを出すにも苦労する連絡が飛び込んでくるようになった。旅行需要の持ち直しに時間がかかるのは仕方がないが、手をこまねいているわけにはいかない。政府が今月に旅行代理店などの営業再開を認めたこともあり、事業再生プランを練りながら次の展開を模索している。

■ドライブ三昧の生活

両親が外国人のホームステイを受け入れていたため、小学生の頃から日常的に英語を使う環境があった。20歳を過ぎた米国人の留学生が多く、年の差から親交を深めるまでには至らなかったが、英語の基礎が染みついた。

高校時代は友人たちとバンド活動に明け暮れ、勉強はそっちのけ。テストとなれば英語以外は赤点だった。「頭が良いとはいえなかった」。進学について悩んでいたところ、父親から「大学に行けないなら海外に行け」と言われ、渡米を決意する。

カリフォルニア州に留学し、2年半を過ごした。心を入れ替えて勉強に励んだかといえば疑わしい。シボレーのスポーツクーペ「カマロ」を乗り回し、海岸沿いをドライブするのが日常だった。

帰国後、添乗員を経て中堅の旅行会社に13年間務める。仕事は順調で家庭もできたが、離婚を機に人生を見直した。「新たなスタートを切りたい」と思い立ち、再び海外に出ることを決意。他国も検討したが、英語が通じるという単純な理由でフィリピンを選んだ。

しばらく住んだアパートは、お世辞にもきれいとはいえなかった。床は木の板張りで、横になっていると、視界を覆うどでかいゴキブリが飛んできた。街中のタクシーに乗ると、運転席の足元の床が豪快に抜け落ち、地面が顔をのぞかせていた。貧困層が多く治安も悪い。「めちゃくちゃだったが、日本の生活を忘れさせるほど刺激は多かった」

■とにかく行動

日本とはガラリと変わった生活に、学生時代の怠惰な日々がよみがえる。そんな中でディスカバリーツアーのオーナーと知り合いになり、日本の旅行会社で働いていたことをきっかけに「手伝ってみないか」と誘われ、働き出した。

当時は「治安が悪い」ことで有名なフィリピンだったが、日本からの出張や旅行団体の誘致、進出している日系企業のアテンドなど仕事は忙しかった。他社に引き抜かれた時期もあったが、出戻りした後も必死に働いた。

人生の転機はと聞かれても、パッとは思い付かない。高校卒業後に思い切って渡米したことかもしれない。理論的に考えることが苦手だったからこそ、決断の時に難しく考えず、一歩を踏み出せた。「がむしゃらになってやってみなければ、分からないこともある」

新型コロナの影響で旅行関連業界には逆風が吹き荒れているが、21年には企業の出張が段階的に再開されていくと見込んでいる。来月にはオフィスの改築工事が終わり、従業員も段階的に戻ってくる。心機一転、行動を重視して会社の立て直しを図っていきたい。(フィリピン版編集・竹内悠)


関連国・地域: フィリピン
関連業種: 医療・医薬品サービス観光社会・事件

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