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東南ア通貨、安定もドン高圧力=三菱UFJ

三菱UFJ銀行ハノイ支店・ホーチミン支店は23日、東南アジア主要国の金融市場に関するウェビナー(オンラインセミナー)を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大で輸出入額がともに減速する中、内需低迷による貿易収支の改善で、現地通貨の対米ドル相場は安定する傾向にある。ベトナムは対米の黒字幅拡大などでドン高圧力が高まっており、中央銀行が対米関係を考慮して為替介入のレートをドン高方向にシフトする可能性があるという。

三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのシニアアナリスト、井野鉄兵氏は、コロナ禍による内需低迷が東南アジア諸国連合(ASEAN)経済の直近の課題と指摘した。中国における新型コロナ感染症の流行拡大が問題視されていた頃には、ASEANから同国への輸出が低迷すると問題視されていたが、足元では回復してきている。域内各国の輸入額の落ち込みが続く一方、輸出が回復基調となることで貿易収支が改善している状況だ。

井野氏は「短期的には、輸出が先行して回復することでASEAN主要各国の通貨は安くはなりづらい」との見方を示した。一方、6カ国(タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)の対米ドルレートは、フィリピンペソを除き年初の水準までは回復していない。海外からの証券投資が6月に回復したが、7月以降に鈍化しており、為替相場が力強く回復する状況でもないと説明した。

6カ国のうち、タイバーツとインドネシアルピアは域内他国よりも回復が弱い。タイは観光業によるサービス収支の黒字が貿易収支を上回る外貨の稼ぎ頭で、昨年末までの4年間、バーツ高が進展していた。観光業の正常化のめどが立たず、経常収支の悪化要因となっている。

インドネシアは◇中銀の独立性に対する不信感◇財政の悪化◇新たなロックダウン(都市封鎖)――が資金の流入を阻害する要因となっている。特に中銀の独立性に関しては、景気対策の資金源確保が難航する中、「禁じ手」とされる中銀による引き受けを進める向きがある。中銀の貨幣発行が増え、通貨の価値が下がれば、ルピア建て資産の減価の可能性が高まるという。

■ベトナム、対米黒字拡大がリスクに

ASEAN主要国の今年の国内総生産(GDP)成長率は、軒並みマイナス成長になると予想されている。ベトナムは例外的にプラス成長を維持する見通し。ただ、米中貿易摩擦の受益国として対米貿易黒字の拡大が続いており、「為替操作国」リスト入りするリスクがある。

井野氏は「対米貿易黒字は、7月には約70億米ドル(約7,400億円)となった」と指摘。「通年で対米貿易黒字額が200億米ドル以上」が、米国が為替操作国と判断する指標の一つとなっており、危険な水準となっていると説明した。

ベトナムの輸出拡大に向けてはドン高を抑えた方が有利となるが、ベトナム国家銀行(中央銀行)が、介入レートをドン高に変更する可能性がある。現在は1米ドル=2万3,175ドンがラインとなっており、相場も前後を推移している。


関連国・地域: 中国タイベトナムマレーシアシンガポールインドネシアフィリピン日本米国
関連業種: 金融マクロ・統計・その他経済

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