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9月から就労ビザの要件厳格化 専門職、最低月給4500Sドルに

シンガポール人材開発省は27日、外国人の就労ビザの取得要件を厳格化すると発表した。専門職向け就労ビザ(エンプロイメント・パス=EP)の取得に必要な最低月給額は4,500Sドル(約35万円)に引き上げる。9月1日以降の新規申請から適用する。中技能の熟練労働者向けのSパスの最低月給額も改訂する。新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢が悪化する中、国民の雇用を保護するのが狙い。企業は人材戦略の見直しを迫られそうだ。

人材開発省は27日、EP取得に必要な最低月給額を4,500Sドルに引き上げると発表した=24日、シンガポール中心部(NNA撮影)

人材開発省は27日、EP取得に必要な最低月給額を4,500Sドルに引き上げると発表した=24日、シンガポール中心部(NNA撮影)

EPの最低月給額は、現行の3,900Sドルから15%上昇することになる。新規申請は9月1日から、EP保有者が更新を申請する場合は来年5月1日から、それぞれ新基準を適用する。引き上げ幅は過去最大、適用までの期間の短さは過去最短だ。

40代の外国人がEPを申請する場合の最低月給額については「最も若いEP申請者の月給額の約2倍」と明言した。少なくとも9,000Sドルの月給額が求められることになる。

シンガポール人の就職希望者が多い金融業界については、12月1日から最低月給額を5,000Sドルとし、さらに高い水準に設定する。9~11月は他業界と同様の4,500Sドルを適用する。

金融業界のEP保有者が更新を申請する場合は、来年5月1日から適用する。同業界の40代のEP取得要件も同様に、若手の約2倍で1万Sドル以上となる。

Sパスの最低月給額は、現行の2,400Sドルから2,500Sドルに引き上げる。新規申請者には10月1日から、更新の場合は来年5月1日から、それぞれ適用する。

外国人労働者税(人頭税)や外国人労働者比率上限(DRC、企業の全従業員に対する外国人労働者の割合の上限)については、現行の水準を維持する。

■官営サイトの掲載要件も変更

人材開発省はこのほか、企業が就労ビザを申請する前に義務付けている、官営の求人求職サイト「マイ・キャリアズ・フューチャー・ドットSG(旧ジョブズ・バンク)」への求人広告の掲載要件を見直した。

現在はEP申請前を対象にしているが、10月1日からはSパスの申請前にも求人広告を掲載することを義務付ける。さらに掲載期間については、現行の14日間から28日間へと2倍に引き伸ばす。

人材開発省はEP取得時の最低給与額を今年5月に従来の3,600Sドルから3,900Sドルに引き上げたばかり。今回の措置は、今後数年間は経済情勢が元に戻らないことを想定して決めたという。

主に専門職・管理職・幹部・技術者(PMETs)のシンガポール人の雇用を守るのが狙いだ。6月時点の失業率(外国人を含む)は2.9%。シンガポール人と永住権(PR)保持者のみは3.9%、シンガポール人のみは4.0%となり、いずれも09年9月以来、約11年ぶりの水準まで悪化している。

■コスト増で駐在員減少へ

今回の就労ビザの取得要件の厳格化で、日系をはじめとする外国人に雇用を頼る企業への影響は大きそうだ。人事サポートサービス会社プログレス・アジア・シンガポールの斉藤秀樹社長は「日系企業で駐在員の数が減るだろう」と語った。

人件費が増えるためで、これまで複数人の日本人駐在員を置いていた企業でも、今後は役員1人しか置かなくなる可能性があるという。若手駐在員はタイ・バンコクなど近隣諸国に置き、出張ベースでシンガポールに派遣する企業も増えるとの見方も示した。

一方で、斉藤氏は「もともと企業が求める能力を有した現地人材が少ない中、外国人の最低給与額の要件を引き上げたくらいで、シンガポール人の雇用が改善するとは考えられない」と、人材開発省の政策に疑問も呈する。

人件費が急激に上昇する中、日系企業は人材戦略の見直しを迫られている。優秀な現地人材の確保だけでなく、現地人材をどう育成し、必要な能力を獲得させるかも、企業の課題となりそうだ。


関連国・地域: シンガポール
関連業種: 自動車・二輪車電機食品・飲料マクロ・統計・その他経済雇用・労務

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