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【アジアで会う】竹谷大世さん ダイセイグループCEO 第306回 コロナ乗り越え巻き返しへ(インドネシア)

たけや・だいせい 1975年ジャカルタ生まれ。10歳で日本に移って生活し、高校卒業後に和食料理人として板前修業。2001年ジャカルタに戻って親の経営する飲食店を手伝い、02年から経営に本格的に参加。「大東京酒場」「キラキラ銀座」「ラーメン38」「じゃかるた市場」など飲食、小売りの日本食事業を展開する。10年から毎年開催されている日本祭り「縁日祭」の実行委員長も務める。19年にインドネシア国籍を取得した。

「事業を始めてから20年近くたつけど、もし店を閉じたらどうなるのか。なにをしたらいいのか。今回ほど真剣に去就について悩んだことはなかった」。竹谷さんは、インドネシアで新型コロナウイルス感染症が流行し始めた今年3月を振り返る。「新型コロナウイルスは、これまで誰も直面したことのない事態で何か対処マニュアルがあるわけでもない。危機を迎えると、人間って頭を使うんだなってことも実感しました。コロナで休業中も毎日動いて、いろいろ策を打ってきました」と話す竹谷さんは、新型コロナウイルス感染予防の規制が緩和され、飲食店の営業が再開したことで、山を一つ越えたという表情を見せた。

竹谷さんは、日本人のみならず地元のインドネシア人の間でも人気が高い数々の店を営業しており、2月には新しい日本食店「EDOX(エドックス)」を開業したばかりだった。世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症がインドネシアで深刻化し始めたのが3月。翌月には感染予防を目的とした「大規模な社会制限(PSBB)」が首都ジャカルタで実施された。これにより薬局や生活必需品以外の小売店は休業し、住民は不要不急の外出を控えるようになった。ジャカルタの飲食産業が実質停止した。売り上げはかつての1割ほどに落ち込んだ。

2002年からインドネシアでの事業に携わってきたが、これほどの「危機」は初めてだったという。「本格的に経営に加わった時期は、まだアジア通貨危機の影響が残っていたものの、これから改善していくという勢いがあった。(08年の)リーマンショックもインドネシアは深刻な影響を受けず、事業のあり方を考えたのは今回のコロナが初めてだった」と話す。

■従業員への対応を第一に

インドネシアのコロナの動向が先行き不透明なことから、まずは使っていない車両など手持ちの不要な資産を現金化。当座のキャッシュを確保した。次に従業員雇用を維持するために奔走した。政府がコロナ禍でのレイオフ(一時解雇)について退職金の支払いを免除したのを機に、従業員の多くを解雇してコロナ後に再雇用する会社もあったが、これには賛同できなかった。「やはり従業員たちがあってこその商売だと思い、彼らを第一に考えた」と述べ、従業員に対して自宅待機でも基本給の半分を保証し「必ず復活するから」と理解を求めた。

新しいサービスも開始した。会員制交流サイト(SNS)を通じた総菜や食品の宅配を開始。冷凍即席ラーメンや冷凍ピザなどの新商品も開発して販売したほか、すしの出前やケータリングも始めた。だが、「すしは握りたてが一番おいしい」。客の自宅に職人を派遣し、その場ですしを握る新たなサービスにも挑戦した。竹谷さん自らすしを握ったこともあった。特にインドネシア人の客にはとても好評だったという。

日本人の単身者をはじめとした自炊需要が増えたこともあり、小売事業は売り上げを保つことができた。一方、飲食店の苦戦は続いた。「コロナ禍がいつまで続くかわからない中で、できることをやっていく」と考えた。感染対策として店内に個室を増やすための改装もした。

6月に入り、規制は徐々に緩和された。客足は現在もコロナ前の5割程度。「通年でも客足は7~8割にとどまるだろう。コロナ前の水準にはしばらく戻らないかもしれない」との見通しだが、「4、5月に比べれば全然問題にならない」と話す。新たに始めた数々の商品、サービスは今後も継続して、コロナ禍からの巻き返しを図る。(インドネシア版編集・六角耕治)


関連国・地域: インドネシア日本
関連業種: 社会・事件

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