東南アジア特化型の統合・買収(M&A)マッチングプラットフォーム運営のDoMandA(ドマンダ)は2月28日、同社が入手した東南アジア地域企業の売却案件数の分析結果を発表した。過去1年間で、ベトナムの構成割合が5割近くで最も多かった。
各国・地域の案件数のシェアは、ベトナムが47.0%と最多で、シンガポール(41.9%)を上回った。以下、インドネシア(3.4%)、バングラデシュとマレーシア(それぞれ2.6%)、香港(1.7%)、カンボジア(0.9%)と続いた。
ドマンダの松本浩伸社長はNNAに対し、「ベトナム企業の人気の高まりと、売り時と考える同国の企業が増えたことが要因と実感している」と説明した。同社が主に取り扱う取引額30億円未満の案件は、オーナー企業やファミリー企業が多く、横のつながりが強い。売り手側のアドバイザーが売却案件を成立させると、紹介で他社からの依頼が発生し、「売却の連鎖」を生んでいる。
松本氏はシンガポールを拠点に実務に携わっており、「日本企業がベトナム企業を買収する環境が整ってきた」という肌感覚がある。かつてはベトナムのM&A案件はハイリスク・ハイリターンと考えられていたが、日本企業の知見がたまり、専門家が増えてきたとの見方を示した。
業種別では、東南アジア地域全体でプラスチック部品やステンレス板、原紙、プリント基板などの「製造」が20.5%で最も多く、「食品・飲料」(17.9%)、「サービス」(9.4%)が続いた。ベトナムもトップ3が同様で、それぞれ23.6%、20.0%、12.7%。シンガポールでは「食品・飲料」(16.3%)、「製造」(12.2%)、「建物管理」(10.2%)の順で多かった。
松本氏は「ベトナムは製造や食品・飲料系の企業が多い」と指摘。シンガポールでは地代や人件費が比較的高く、両業種への投資は高利益率なセグメントなどに限定される。シンガポールでは、ディストリビューターを除けば、食品・飲料関連の売却案件をあまり見ないという。
ドマンダは2019年10月設立。東南アジアの事情に詳しいM&Aアドバイザーが仕入れた案件を日本企業などに紹介している。
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