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【NNA景気指数】タイ 2020年第1四半期予測

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。
NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。
両指標ともNNAのタイ経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。
NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。 NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。 両指標ともNNAのタイ経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。 NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

<2020年第1四半期(1~3月)の予測>

◎経済の減速傾向が一層鮮明に

・バーツ高で輸出低迷に拍車

・日系企業の景気見通し悪化

・干ばつの影響に警戒必要

・新車市場縮小も電動車好調

<経済アナリストの目>

タイ中央銀行の金融政策委員会は、2019年12月の政策会合で19年の国内総生産(GDP)成長率見通しについて、9月時点の予測の2.8%から2.5%へ引き下げた。20年の成長率予測についても、19年9月時点の3.3%から2.8%に下方修正した。19年のタイ経済は、こうした経済見通しの下方改定からうかがえるように、減速傾向が明らかとなっている。

景気の状況を示すNNA CIは、19年10月の113.6から11月には111.0に下落した。同指標は18年10月の122.8をピークに趨(すう)勢的に低下しており、11月時点で景気の後退に歯止めがかかっていない。11月は各指標とも小幅ながら悪化しており、経済記事のセンチメント指数も悪化を示している。10~11月の掲載記事の中では、中央銀行の利下げにもかかわらずタイバーツの対米ドル為替レートの割高感が続いており、輸出の落ち込みに拍車をかけていること、耐久消費財の消費が前年比で落ち込み民間消費の伸びを抑えていることなどがネガティブ・センチメントを押し上げる記事として注目される。政府は貿易決済を米ドル決済とすることを呼びかけるほか、12月には米中貿易摩擦の影響回避のためにタイに生産移転をする企業に対して法人税を5年間免除する優遇策などを打ち出したと報じられている。

景気の方向感を表すNNA DIは10~11月の2カ月平均で36.7%となった。この指標は、工業生産、輸出入、小売りなどの各指標が3カ月前と比べて増えれば「1」、減っていれば「0」、不変であれば「0.5」を取り、その合計値を分子として、タイでNNA景気指数を算出するために参照している全指標数6を分母として算出される(今回は速報値のため2カ月間の値で算出している)。今回は付加価値税収と記事センチメント以外の指標は悪化しており、景気判断基準では小雨(景気はやや悪い)に相当する。NNA DIからは20年第1四半期は景気の後退が続くことを示唆していると読み取れる。

タイの内閣は19年12月24日、中期財政フレームワークを承認した。21~24年のGDP成長率は3.1~4.1%と設定されており、輸出回復、内需拡大、官民投資の増加によって経済成長が徐々に回復するというビジョンが示されている。タイの財政年度は10月から始まるが、20年度予算は新政権発足のタイミングの関係から審議が遅れて年度初めまでに成立せず、現状暫定予算での財政執行となっている。20年度予算は1月末までには議会で成立する見通しとなり、予算執行を通じた財政政策も本格化することが予想される。これらの動きを踏まえて景気の後退にどこまで歯止めがかかるか、注目される。

日本格付研究所 国際格付部長・チーフアナリスト 増田 篤

<タイ編集部の目>

2019年のタイ中央銀行(BOT)の最終営業日となった12月30日、BOTがまとめたドルバーツのスポット取引の終値が1米ドル=29.968バーツとなり、13年5月以来の29バーツ台を記録した。19年半ばから続いたバーツ高は米中貿易摩擦と並んでタイ経済を苦しめてきたが、新年も為替に不安を残すスタートとなった。

タイに進出する日系企業が為替を「リスク」と捉える傾向は、NNAが19年11~12月にアジアの駐在員を中心に実施したアンケート調査でも明らかだった。調査では「人件費上昇・人材難」をリスクと考える回答が最も多く(112件中87件、複数回答)、2番目は為替で67件だった。アジアの国・地域別(オーストラリアを除く)で為替をリスクとして挙げた割合は、タイが最も高かった。

こうした要因もあり、同調査におけるタイの業況判断指数(DI、20年の景気が「良くなる」との回答割合から「悪くなる」との回答割合を引いた値)は、マイナス32.1だった。内訳は、「良くなる」が6.3%、「横ばい」が55.4%、「悪くなる」が38.4%だった。前年の景気見通しでは、DIはプラス15.3(それぞれ27.8%、58.3%、12.5%)だったが、この1年でタイの景気見通しを憂える企業が増えた。

消費市場への懸念もぬぐえない。タイ商工会議所大学(UTCC)が1月10日に発表した、19年12月の消費者信頼感指数(CCI、100以上が好感)は、前月比0.8ポイント下落の68.3だった。CCIが10カ月連続で下落する中、「住宅の買い時」と「新車の買い時」を尋ねる定点観測(「買い時」の割合から「買い時ではない」の割合を引いた値に100を足した数値)では、前者は36.1となり05年7月の調査開始以降で過去最低、後者は60.7で10年以降で最低となった。

年始からタイの不動産開発大手は、コンドミニアム(分譲マンション)の開発件数を減らす、高層住宅ではなく低層住宅に注力するといった方針を発表し、投資に慎重な姿勢を見せている。さらに乾期に入ったタイは、例年同様に干ばつの懸念が高まっているが、今年は深刻さを増すとみられており、農産物価格や水不足による製造業への影響も注視すべき状況となっている。

一方で今後の明るい材料も出てきた。米財務省が13日に米議会に提出した報告書で、タイは「為替操作国」の監視リスト入りを免れた。あるアナリストは、これまでBOTが為替操作国への認定を警戒して積極的な為替介入によるバーツ安への誘導策を打てなかったことを指摘してきたが、今後は状況が変わる可能性がある。

また12月下旬から首都バンコクで大気汚染が悪化しているが、環境問題がクローズアップされ消費行動が変わるきっかけとなる兆しもある。NNAがタイ運輸省陸運局のデータをまとめたところ、19年の電気自動車(EV)の新規登録台数は前年比4.1倍と急伸。ハイブリッド車(HV)などの電動車も31.9%増の2万6,447台と2桁伸びた。19年の新車市場は縮小したが、電動車は大きく伸びており、消費行動の変化には留意すべきだろう。

NNAタイ編集長 京正裕之

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