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【循環型経済】輸入規制、阻む資源再利用 中央大・佐々木教授に聞く(上)

2017年末に発効した中国の廃プラスチックなどの廃棄物輸入規制を機に、タイなどの東南アジアに廃棄物が急激に流れた結果、各国が輸入規制を行っている。タイでは廃プラを再生原料としていた企業の活動にも影響を与えている輸入規制の現状や廃棄物の国際循環の課題について、タイの廃棄物問題など環境政策が専門の中央大学経済学部の佐々木創教授(タイ国立チュラロンコン大学客員研究員)に聞いた。

タイ政府が廃プラスチックや電気・電子機器廃棄物などの廃棄物の輸入規制を強めている結果、企業活動にも影響が出ている(ネーション提供)

タイ政府が廃プラスチックや電気・電子機器廃棄物などの廃棄物の輸入規制を強めている結果、企業活動にも影響が出ている(ネーション提供)

――タイ政府は、中国の輸入規制後に急激に増えた廃プラの輸入規制を行った。この措置で廃プラ輸入量は減ったが、18年以前の水準に戻っていないのはなぜか。

タイの廃プラ輸入量は、中国が規制を行うことを見越して17年から増加し始め、規制開始後の18年5月にピークを迎える。そして18年7月にタイ政府は廃プラの新規輸入許可を停止した。これ以前に認められた輸入許可も有効期間は1年であり、本来は今年7月以降には(有効な許可が存在しないため)輸入ゼロにならないといけない。

ところが、統計上は輸入が続いている。きちんと輸入許可を取得していた日系企業は、廃プラの許可が下りなくなったため輸入を諦めた。一方で、(正規の認可ではない)別の手段で輸入し続けている業者がいて、まじめに許可申請してきた日系企業などにしわ寄せが来ている状態だ。これは大きな問題で、行政の輸入規制の執行能力に問題があって起きていると考えている。

例えば、輸入した高品質の廃プラを再生原料にして製品を作っていた日系メーカーは、タイ国内で品質が悪く、価格の高い廃プラを調達せざるを得ない状況だ。それでは新品のプラスチックを使う場合とコストは大差がなく、リサイクルする意味がなくなってしまう。

――タイ政府は電気・電子廃棄物の輸入規制も行い、その結果リサイクル事業から撤退した日系企業も出た。

これも廃プラと同じ文脈であり、非常に残念だ。タイ政府は基本的には外国から廃棄物を入れないという方針を取っている。(東南アジアなどの)他国も同様で、国際的に廃棄物の輸入を閉ざす傾向にある。ただ、非合法的な手段では輸入が続いており、廃棄物の国際循環の観点では良い状態とは言えない。

仮にタイで製造された家電製品や電気自動車(EV)のバッテリーをリサイクルしたいというメーカーがあった場合、現在の規制によって周辺の低所得国に流れた製品を回収してタイで再資源化することができない。本来は適正な場所で適正にリサイクルすることが、世界的な資源の循環効率を高めることになる。

――閉鎖的な政策が続くと廃棄物は自国でリサイクルする流れになるのか。

廃棄物を受け入れたくないという感情は分かるが、どこからが廃棄物でどこからが資源なのか区別ができていないことも問題だ。ただこの問題については、21年には(資源とみなされない)「汚れた廃プラ」の輸出規制を盛り込んだ「改正バーゼル条約」が施行され、汚れた廃プラの国際的な定義も今後決まる。そうなると輸出元の責任が問われるため、輸入規制のあり方が変わるきっかけになるかもしれない。

再生原料となる廃プラスチックは国際的な市場で需給バランスを保ちながら循環させる必要性を指摘する佐々木教授=10月21日、タイ・バンコク(NNA撮影)

再生原料となる廃プラスチックは国際的な市場で需給バランスを保ちながら循環させる必要性を指摘する佐々木教授=10月21日、タイ・バンコク(NNA撮影)

また廃プラ市場に関しては、一つの国だけでは需要と供給が合わないため、国際的な循環ができない現状では資源が退蔵する問題が起きる。日本をはじめ先進国の企業が、分別されたきれいな廃プラを中国やタイに輸出してリサイクルするのは、労働コストが安いことに加え、再生原料の需要が先進国にはないという理由からだ。中国やタイでは、(再生原料で)玩具や日用品など多様なプラスチック製品が生産されている。中国は廃プラ輸入を規制していても再生原料になっていれば受け入れているが、タイは再生原料に加工された廃プラの輸入も禁止したため、リサイクルの国際循環が成り立たなくなっている。

透明なペットボトルを集めて機械で圧縮したボトルの塊=タイ(NNA撮影)

透明なペットボトルを集めて機械で圧縮したボトルの塊=タイ(NNA撮影)

――タイ国内だけで廃プラ・再生原料を循環させるとしても、食品パッケージなどへの使用禁止など規制がある。

発展途上国の環境規制は厳しいほうに振れやすい。タイの場合は、分別システムができていない上に、例えばペットボトルでは清涼感を出すために青い着色料が入っているものがある。これはリサイクルした時に透明のボトルよりも品質管理がしづらくなる。日本では業界が自主規制しているが、タイではこうしたプラスチック製品の問題もある。


関連国・地域: タイ日本ASEAN
関連業種: 電機化学マクロ・統計・その他経済

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