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【アジアを走れ、次世代モビリティー】奇想天外か近未来か 欧州の最先端モビリティー

【今年~来年に登場の注目EV】

■架線で充電!「eハイウェイ」

写真は各社HPより転載

写真は各社HPより転載

独電機大手シーメンスは、スウェーデン商用車大手スカニア、地元輸送会社と連携し、架線からトラックに給電する「eハイウェイ」システムの実証を独フランクフルト近郊のアウトバーンで5月7日に開始した。トロリーバス(架線式バス)のトラック版ともいえ、2022年まで実証する。約10キロメートルの架線区間の外でトラックのバッテリーが不足した場合は軽油で走行する。シーメンスとスカニアはスウェーデンでも16年から実証を継続している。

■太陽光EV、充電いらず?

ボディーに248のソーラーセルを貼り合わせた独新興企業ソノモーターズの「シオン」。太陽光だけで航続距離は34キロ(夏のドイツ)で、通常の充電(航続距離250キロ)も可能だ。2020年末には量産を開始し、販売予定価格は2万5,500ユーロ(約305万円)。既に1万件以上の購入予約を集めた。中国資本のスウェーデンメーカー「NEVS」の工場(旧サーブ)で生産し、独メガサプライヤーのボッシュやコンチネンタルもパートナーに。

■EVトラック 運転台なしで公道走行 新興企業に有名大手小売・運輸が提携

スウェーデンの自動運転スタートアップ企業エインライド(Einride)は5月15日、世界初とされる運転台なしの自動運転トラック「T―pоd」の公道走行実証を開始した。スウェーデン南部のヨンショーピング市にあるドイツ鉄道(DB)物流部門シェンカーの施設で、来年末まで実施。エインライドはシェンカーのほか、通信・電機大手エリクソン、コンチネンタルや独格安スーパー「リドル」とも提携済み。写真はストックホルム近郊での6月の公道実験。

■3Dプリンターでカスタマイズ生産

中国の3Dプリンター素材のスタートアップ「ポリメーカー」とイタリアの「Xエレクトリック・ビークル(XEV)」が協業。両社は2018年3月、低速EV(LSEV)を19年6月までに販売開始すると発表したが、まだ実現はしていない。最高時速69キロ、航続距離150キロ、価格は7,500米ドル(約79万円)で欧州向けに販売。部品は57モジュールに集約化している。イタリア国営郵便が5,000台発注、との報道もあった。3Dプリンター製自動車はユーザーのニーズに合った「カスタマイズ車」の生産が可能だが、コスト低減が課題だ。

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【オーストラリア国産車、EVで復活なるか】

充電施設の拡充と共にオーストラリアでの販売拡大を狙うテスラ(NNA豪州)

充電施設の拡充と共にオーストラリアでの販売拡大を狙うテスラ(NNA豪州)

年間100万台以上のオーストラリアの新車市場。しかし2016年以降、米フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下GMホールデン、トヨタ自動車が相次いで工場を閉鎖。オーストラリアの自動車生産は17年10月に事実上終了した。それから2年、オーストラリアで国産自動車を復活させようという動きがある。ただし、内燃機関車ではなく電気自動車(EV)だ。(文=NNA豪州編集部 小坂恵敬)

大手3社の生産撤退は、製造コストの中でも人件費がかさみ、連邦・州政府の補助金なしでは事業継続が困難だったからだという。国内経済にも一時的に暗い影を落とした。

<EV普及公約の労働党が敗北>

今年5月に行われたオーストラリアの総選挙。選挙直前まで野党労働党が優勢で、労働党政権誕生が予想されていた。労働党の公約の一つにEV普及があった。EV製造の補助金拠出や30年に新車販売の5割をEVとする公約を掲げていた。しかし、下馬評を裏切るまさかの敗北。一方で、政権を維持した保守連合(自由党・国民党)からは、国産自動車復活に向けた本気の政策が見えてこない。

こうした状況下で、民間の中からは連邦・州政府の補助金を頼りにせず、EVを製造しようという動きもある。インドの富豪サンジーブ・グプタ氏が率いる、複合企業GFGアライアンスは、GMホールデンの工場があった南オーストラリア(SA)州で年1万~2万台のEV製造を検討。中国EV大手の比亜迪(BYD)は高級乗用EV製造をSA州で計画。中国製の都市内用のEVトラックは近く販売予定だ。

クイーンズランド州ブリスベン拠点のスタートアップ企業、エースEVは今年4月、2人乗り小型商用EVライトバン「エース・カーゴ」の試作車を組み立てた。年内に100台の製造・販売を計画し、25年までに1万5,000台を量産するという。

<広大な国土、少ない人口>

ただ、国土が日本の20倍、人口が5分の1のオーストラリアのEV市場の発展には充電設備の普及が課題だ。全土に充電設備を設けることは容易ではない。

オーストラリア自動車産業会議所(FCAI)によれば、18年に登録されたEV(プラグインハイブリッド車=PHVを含む)は1,352台。FCAIに参加していない米大手テスラの昨年の販売台数1,320台(推計)を加えれば、オーストラリアで2,672台しかEV・PHVが売れなかった。年間115万台の市場規模を考えれば、EVは市場の0.2%しか占めていない。

「オーストラリア国産車」がEVで復活するには、充電インフラの整備や、海外を含めた部品の安価な調達など、課題が山積しているといえそうだ。

※特集「アジアを走れ、次世代モビリティー」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年9月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: オーストラリア日本欧州
関連業種: 自動車・二輪車運輸IT・通信

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