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【アジアで会う】坪和寛久さん ユーチューバー 第269回 「屋台めし」を娯楽に変える男(インド)

つぼわ・ひろひさ 茨城県生まれの35歳。2013年にインドの不動産会社に転職し、西部ムンバイに移住した。サラリーマン生活の傍ら、「今日ヤバイ奴に会った」のアカウント名でユーチューバーとして活動。インドの屋台めしが作られる様を中継する動画が人気となり、フォロワー数は48万人を超えた。勤める会社でユーチューブ部門を立ち上げ、インド人ユーチューバーを発掘・育成していく夢を描く。

「通っていた屋台の、サンドイッチを作る様子が面白かったから」。軽い気持ちで5年前に初めて動画をアップしたのが、ユーチューバーとなるきっかけだった。「母親がインド行きを心配していたので、毎日ブログを書くことで『元気にしてるよ』ってことを伝えるようにしてて。動画はその延長線で、1本目が身内にウケたので、以降もちょこちょこアップするようになった」

初動画のアップから2年以上過ぎたある日、突然グーグルから少額の入金があった。チャンネルをのぞくと、サンドイッチ動画の再生回数が10万回を超えていた。「もしかすると、これって本当に面白いのかも」――。それまで月1回程度だった動画のアップ頻度を、徐々に増やしていった。

■現地の匂い伝えたい

動画の舞台は路上の屋台だ。「インドの○○の作り方」というタイトルで、インド風にアレンジされた焼きそばやチャーハン、カレー、ビリヤニ(インド風炊き込みご飯)、スイーツなどが作られる様子を撮影し、テロップとBGMを加えて仕上げている。

「インドは料理にこだわりがある。都市や屋台ごとに作り方が違うし、すごく手が込んでいる」。屋台は衛生的とは言いがたいが、包み隠さず全てを写し、豪快な調理で鍋や皿から飛び出した食べ物は「思い出」、食べ物に集まるハエは「妖精」と呼び、愉快なテロップをつける。インドの面白さに好感を抱いてもらいたいから、ネガティブに写りがちなモノもポジティブに表現するよう心がけている。

「屋台めしはできたて、作りたてでおいしいし、庶民の表情や匂いに出会えて、感じるものがある。ごくたまにおなかを壊すこともあるけど、それも含めてウマイ!」。屋台に凝縮されたこの国の魅力を、動画を通じて伝えていきたいと考えている。

■「癒される」と評判

サンドイッチ動画の再生が10万回を超えてから1年ほどで、数百人程度だったフォロワー数は20万人へと急増。その後も増え続け、9月16日時点では48万6,000人に達した。

クスッと笑えるテロップが人気の秘密

クスッと笑えるテロップが人気の秘密

動画は海外に住む日本人にも人気で、中国在住の女性ファンは「センスある言葉のチョイスがツボだし、見ると癒される」と語る。動画の終わりには毎回、路上で気ままに暮らす「インド犬」や「インド猫」(野良犬や野良猫)が登場。癒しの要素を担い、隠れた主役となっている。

「今日は会社で嫌なことがあったけど、(動画を見たら)元気が出た」「反抗期の息子とうまくいっていなかったが、(坪和さんの動画という)共通の話題ができた」。そんなフォロワーのコメントに勇気づけられる日々という。

現在は動画を週に4本アップし、週に1回ライブ配信を行っている。ライブ配信では主に街歩きの様子を生中継。フレンドリーな人が多いインドでは、動画を撮りながら歩いていると自然と人が集まってくる。「こういう人がいて、こんなものを売っているんだ、という感じでみんな見てくれている。インドの人たちと動画を通じて話ができる、そういう部分に魅力を感じてくれているのではないか」

今年に入ってからはタイやケニアなど、国外に遠征して各国の屋台めしを紹介する取り組みも始めた。東京や大阪では、不定期でファンミーティングを開催。チャンネルに最も多く登場しているムンバイの屋台、「カーンズ・フレーバー」の店主であるカーンさんを日本のファンミーティングに招待するのが目下の夢だ。

さらに今後は自身の活動だけでなく、インド人ユーチューバーの発掘、育成を支援するビジョンも描く。「社長にユーチューブ部門の立ち上げを相談している。インドのユーチューバー市場はブルーオーシャンで、大きな可能性を秘めている。インドのおかげで今の自分があるから、これから時間をかけて、恩返ししていきたい」(インド版編集部・天野友紀子)


関連国・地域: インド
関連業種: メディア・娯楽社会・事件

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