中国のゲーム市場が、昨年の規制強化による低迷から復調している。上半期(1~6月)の売上高は1,140億2,000万元(約1兆7,200億円)で、前年同期比8.6%増加した。伸び率は依然として1桁台だが、前年同期の5.2%からは3.4ポイント上昇している。6月時点でのゲーム人口は5.9%増の6億4,000万人となった。
中国音楽映像デジタル出版協会ゲーム作業委員会(GPC)と米調査会社IDCが共同でリポートをまとめ、1日に発表した。
中国企業が自主開発したゲームの売上高は、上半期は15.4%増の921億4,000万元となった。自主開発ゲームは売上高全体の80.8%を占めており、同比率は前年同期の76.0%から拡大している。
同期のモバイルゲームの売上高は21.5%増の770億7,000万元だった。昨年は政府の規制で新規ゲームの審査が停滞したことの反動で、高い伸びを記録した。モバイルゲーム人口は6億2,000万人で6.0%増。ただリポートは、第2四半期(4~6月)からモバイルゲーム人口の伸びは鈍化し始めていると分析している。
国内市場が回復途上にある中、海外での中国ゲーム販売には勢いがある。上半期に中国企業が自主開発したゲームの海外販売は55億7,000万米ドル(約5,910億円)で、20.2%増加した。複数のプレーヤーが同時に参加できるマルチプレーヤー・オンライン・バトル・アリーナ(MOBA)ゲームが売り上げの柱で、海外販売全体の83%を占めているという。
2022年に浙江省杭州市で開催されるアジア競技大会に正式種目として採用されるなど、競技人口が増えるエレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)による売上高は、上半期は11.3%増の465億元となった。伸び率は17年上半期の43.2%、18年上半期の16.1%から縮小はしているが、依然として2桁を保っている。今年上半期における中国のeスポーツ人口は11.2%増の4億4,000万人。リポートは「ゲーム人口全体の伸びが減速する中、eスポーツ人口は高い成長を続けている」と指摘している。
新華社電によると、中国の各市場に上場するゲーム関連会社は7月末時点で198社に達した。18年末時点と比べ3社増加。また現在上場計画を進めている企業も10社以上ある。
■昨年は規制強化で失速
中国のゲーム市場は、インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)が17年、スマートフォン向けゲーム「王者栄耀」が小中学生の間で過度に人気になったことで社会的批判を受け、未成年者のログイン時間を制限するなど自主規制に踏み切った。18年には教育省が青少年の近視を予防するための実施方案の中に、オンラインゲームを規制する内容を盛り込み、これもゲーム市場の成長に冷水を浴びせた。さらに18年には当局によるゲーム審査の一時凍結もあり、ゲーム市場調査を手掛けるCNG中新遊戯研究(伽馬数拠)によると、同年のモバイルゲーム市場の売上高は前年比15.4%増の1,339億6,000万元で、伸び率は17年の41.7%を大きく下回った。
■ゲーム見本市、内外800社超参加
突然の政策変更というリスクはあるものの、世界最大級のゲーム人口を誇る中国への企業の期待は引き続き大きい。中国最大規模のゲーム見本市「中国国際数碼互動娯楽展覧会(チャイナジョイ)2019」が8月2~5日に上海市で開かれた。主催者発表によると、今回は800社以上が参加。テンセントをはじめとする国内IT企業のほか、米国のマイクロソフトやグーグル、日本からもソニー、任天堂、ディー・エヌ・エー(DeNA)、バンダイナムコなどが出展した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。