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【アジアで会う】竹村章太郎さん 十九代目鈴木飯店 ヘッドシェフ 第251回 日本発の中華料理を提供(マレーシア)

1984年9月長野県生まれ。専門学校卒業後、2004年に「赤坂四川飯店」に入社。陳建一氏に師事して四川料理について学ぶ。18年4月に現在のレストラン開業に当たってマレーシアに移る。19年4月から現職。マレーシアに来たからには国内で様々な東南アジアのエスニック料理に挑戦したいと考えているが、現在はスタッフへの教育に打ち込んでいるため「なかなか長い休みが取れない」と話す。

4月に開店した中華料理「十九代目鈴木飯店」の竹村ヘッドシェフ。これまで日本でシェフとして働いてきたが、マレーシアの四川料理レストランで料理長の仕事があると聞いたとき、「面白そうだ」と思った一方「マレーシアってどんなところなのか、実は何も思いつかなかった」と笑う。「これまで仕事一筋で、海外旅行にすら行ったことがなく、パスポートも持っていなかった。ただ場所はどこであれ、自分が勉強してきた料理の腕を試せる機会はなかなかないこと」と話し、これまで培ってきた四川料理の技術を提供していくことに強い意欲を示した。

■サッカー少年からシェフへ

高校時代まではサッカーにひたすら打ち込んでいた。料理人になろうという意識はあまりなかったが、「子どもの頃からおやつに鍋を振ってチャーハンを作っていた」と話し、料理をすること自体は結構好きだったという。進路を決める時期になり、サッカーで身を立てるには難しいと自覚したとき「これまでの料理の腕が褒められていたこともあり、この道に進もうと考えた」と決心し、調理専門学校に進学。卒業後、中華料理の有名シェフ陳建一氏の「赤坂四川飯店」に入社した。四川飯店はアルバイトを雇わないため、新入社員は料理の修業以前に、飲食業、接客業に関するあらゆる業務をこなした。このときの経験が、のちにマレーシアでのレストラン運営で役立ったという。

四川料理については、陳建一氏の下でその技術を徹底的に学んだ。数種類の唐辛子を使いこなし、花山椒の香りを加えることで、辛さの中に風味を出す、日本人の舌になじむ四川料理を作り上げていった。

■職人意識、現地にも

四川飯店に勤務して10年を超え、ちょうど自身のキャリアについていろいろと考え始めていた時期に、マレーシアで「十九代目鈴木飯店」のヘッドシェフを募集しているという話が舞い込んできた。「当時は海外で働くなんて想像していなかった。ただこれも良い経験になると考え、前向きにとらえた。家族からも快く送り出してもらえたし、頑張ってみようという気になった」と話す。

マレーシアでは当初、十九代目鈴木飯店の正式開店までグループ会社のレストランで働きながら準備を進めた。ローカルスタッフと一緒に働き、当然のようにいろいろ違いを感じることもあった。そうした中でも、調理場では料理の盛り付けだけでなく、例えば皿の縁についた油を拭き取る、フロアでは、来店した客が何を欲しているか絶えず意識するなど、日本の修業時代に学んだ接客や食器の扱いなど、細やかな「日本の接客術」を伝えていく。「自分もなかなか彼らとコミュニケーションが十分にとれていないところもある。ほかのレストランより苦労をかけているかもしれない」と話す。ただ、来店した日本人客から店員の接客態度について評判が良かったので、やってきたことは間違いなかったと自信を深めた。

メニューはポークフリーだが、牛肉を用いることでよりコクのある味に仕上げ「日本の味を100%再現できている」。ただ日本人とマレーシア人の味覚の違いに戸惑うことはある。意外なことに塩味ととろみについて指摘されることが多かったという。特にとろみについては、日本のとろみはマレーシア人に強すぎるように感じるという。「まだメニューやレシピをいじることはないが、こうした違いを踏まえながら、将来的には変更できるところがあれば変えていくこともある」と現地に学ぶ姿勢を見せる。

「自分はまだ一人前ではない」と静かに話す竹村シェフ。「まだマレーシアに来て間もない。学んできた四川料理について持っている知識を全て出し切り、調理場のスタッフを育てていく。マニュアルやレシピだけではできない、料理人という職人意識を持ってもらいたい。そのためには休みもないくらい働いているが、そのために来たんですから」と力強く語った。(マレーシア版編集=六角耕治)


関連国・地域: マレーシア
関連業種: 社会・事件

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