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【プロの眼】海外だから見直せる教育の基本

グローバル教育のプロ 森山正明(最終回)

子供の個性を見極め、その個性に合った教育環境を選択することが基本だ(新華社)

子供の個性を見極め、その個性に合った教育環境を選択することが基本だ(新華社)

日本の「グローバル化」は以前から喧伝されています。2017年10月1日時点の海外在留邦人の総数は135万1,970人で、前年より約1.0%増の過去最多を更新。海外にある日系企業は7万5,531拠点で前年より約5.2%増加し、こちらも過去最多となりました。さらに日本では263万人もの外国人が長期滞在しています。

こうしたグローバル化が国内外問わず進んでいく時代に、家庭でしっかりとした教育ビジョンを持つためにはどうすればよいでしょうか。つまり自分たちの子どもをどのように育てていきたいか─そのビジョンを描く“きっかけ”を拙稿でお伝えしてきました。「子供の教育を通して初めてグローバル時代を真剣に考えた」という方も多いと思います。

■保護者の発想の転換が大切

20年近く海外在住の日本人子女教育に携わってきた私見では、「日本の難関大学に合格しやすい中学校・高校選び」をすることより、子供の教育を通して初めて「グローバル時代」を考えるに至った保護者の発想の転換の方が大切です。

「子供の個性を見極め、その個性に合った教育環境を選択する」ことは日本でも通じる子育ての基本ですが、海外在住であればなおさら基本に立ち返っていただきたいのです。今現在の労働環境が20年後にそのままであるなんてことはあり得ないでしょうし、今の働き方とはまったく異なる社会がやってくることでしょう。

ただ私が体験を通して実感しているのは、「専門領域に特化し、さまざまな背景をもつ外国人労働者とのコミュニケーションを潤滑に行い、あらゆる環境の変化に柔軟に対応ができるような人材」が必要とされるということです。さらに付け足せば、人生100年時代を生きるために、与えられたものだけをこなす受身的な生き方ではなく、自ら行動をしていく能動的な人生を送ってほしいのです。そのような生き方を学ぶステージとして、海外生活ほど適しているものはないと思います。

■いかに「親の背中」を見せるか

海外での生活は、多国籍・多民族・多言語のフィールドで送ります。刺激も多く、世界で活躍する人材が育っていく環境は整っています。低学年のうちに子供自ら「学ぶことは楽しい」という感覚を養っておけば必然的に知識欲が高くなり、その後は自ら学ぶ姿勢さえも自然と育まれるものです。

学校での教育はもちろん大切ではあります。しかしそれ以上に、最も大切な知識欲はやはり家庭が出発点になると思います。基本的な生活習慣や生活能力、豊かな情操、他人に対する思いやりや善悪の判断などの倫理観、自立する心、社会的マナーなどは家庭で培われるものです。日本には「躾(しつけ)」という世界に誇る文化があります。

その一方で、海外生活ともなると、日本とは大きく異なる環境下で緊張を強いられます。そのためより家族の団結は大事なものとなっていきます。つまり、家庭教育やしつけにおあつらえ向きの環境でもあるわけです。「親の背中」の見せどころです。

親が自ら進んで、何でもやってみること、いろんな所に行ってみること、いろいろ試してみること。とにかく行動し海外ならではの体験を重ねていく。海外にいるあいだに子どもを巻き込みながら、家族一丸となって対人力の向上を目指してほしいと思います。(了)

<プロフィル>

森山正明(もりやま・まさあき)

香港日本人補習授業校教員、香港日本人学校大埔校非常勤講師。エデュケーショナル・アクティビスト(教育活動家)として、定期的に香港、広東省、シンガポールで「おとなの社会科見学」を主宰。アジア・グローバル時代の子育て・教育に役立つ情報サイト『みんなのグローバル受験』編集長。北京・香港・シンガポールで教育事業に20年従事。二児の父。香港在住。

※特集「プロの眼」は、アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2019年1月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。


関連国・地域: 香港日本
関連業種: 社会・事件

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