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【アジアで会う】グエン・ホアン・タオさん 環境運動家 第214回 日本で学んだ「エコ意識」伝える(ベトナム)

グエン・ホアン・タオ ハノイ出身。ハノイ大学日本語学科を卒業後、母校で日本語講師を務めた後、東京のIT企業に1年余り勤めた。帰国後、テレビ局での勤務を経て、2014~16年に明治大学ガバナンス研究科(公共政策大学院)に留学。ハノイに戻り、再び母校で日本語を教える傍ら、環境運動家として活動する。

屋台や民家が並び、生活感あふれるハノイの路地裏。先月、市内初という環境配慮型商品(エコ商品)の専門店「ゴー・エコ・ハノイ(Go Eco Hanoi)」をオープンした。自然素材を使用した洗って繰り返し使える食器や手作りの布製エコバッグ、オーガニックの石けん、食品などを取り扱い、会員制交流サイト(SNS)や口コミで聞きつけた客が開店直後からひっきりなしに訪れる。ハノイ大学で日本語を教える傍ら、時間を見つけてはスタッフと共に店に立つ。

日本に興味を持つようになったきっかけは、今でもベトナムで絶大な人気を誇る「ドラえもん」との出会いだ。小学校に入り字が読めるようになったころ、ベトナム語に翻訳されたドラえもんの漫画に夢中になった。学校から帰ると、寝たきりの祖母の枕元に座り、繰り返し読み聞かせた。「勉強のしすぎではなく、ドラえもんの読みすぎで目が悪くなってしまいました」と笑う。いつか日本語で漫画を読んでみたい――。幼少期の夢は失せることなく、大学で日本語を専攻した。

■心動かされた「バッグ持参」の習慣

大学を卒業後、そのまま母校で日本語講師として就職。しかし、社会に出て経験を積みたいという思いから、長年憧れていた日本での就職を決意し、東京のIT企業にアシスタント兼通訳として入社した。

約1年の契約満了に伴い帰国し、国営ベトナムテレビ(VTV)に入社。日本を紹介する番組の制作に携わり、13年には日越外交関係樹立40周年を記念した番組も制作した。忙しい日々を送る中、再び転機が訪れた。日本国際協力センター(JICE)の奨学金を得て、明治大学公共政策大学院への留学が決まったのだ。

日本で学んだことは、学術だけではなかった。「ごみの分別が細かく、スーパーマーケットではレジ袋が有料化されていたり、エコバッグを持参した客への割引やポイント付与の特典が提供されていたり。行政機関と企業、消費者の取り組みに感心しました」。この取り組みをハノイでも広め、故郷の環境を改善させたい――。そう心に決めた。

■地場コーヒーチェーンに直訴

留学を終えて帰国した16年、北中部~中部で魚の大量死が発生。国中を震撼(しんかん)させたこの問題の原因は、台湾系企業による排水にあったと発表された。「この問題をきっかけに、国民の環境に対する意識が急激に高まった」と振り返る。

魚の大量死が発生した直後の同年5月、環境保全団体「Noi Khong Voi Tui Nylon(Say no to plastic bags)」を立ち上げ、フェイスブックのページを開設。若年層を中心に情報が一気に広まり、フォロワーは2年間で3万人を超え、団体にはコアメンバー4人とボランティアが加わった。「楽しく、分かりやすく」をモットーに、週末にはリサイクルに関するワークショップを開催している。

米コーヒーチェーン大手スターバックスは先月、プラスチック製ストローの使用を20年までに段階的に廃止すると発表した。ベトナム国内に160店余り展開する地場コーヒーチェーン大手ハイランズ・コーヒーにもプラスチック製カップとストローの使用規制を直訴しているが、企業側は「ロゴが入ったカップには宣伝効果がある」とし、なかなか首を縦に振らない。「環境保全は、政府と企業、消費者が一丸となって取り組まなければいけません。諦めませんよ」。明るい笑顔の裏に闘志を秘める。(ベトナム版編集・本田香織)


関連国・地域: ベトナム
関連業種: マクロ・統計・その他経済社会・事件

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