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【アジアの名門大学】外国人材の受け入れは企業存続の要

日本では、労働人口が減少する中、企業の人手不足が深刻化すると予想される。特にIT関連人材の不足数は拡大し続け、2030年には60万人に上るとの試算もある。こうした中で日本企業が生き残るには、外国人人材の受け入れは必須となってくるだろう。

ベイングローバルがASEAN出身の留学生を対象として開催した企業説明会=18年2月、東京(NNA撮影)

ベイングローバルがASEAN出身の留学生を対象として開催した企業説明会=18年2月、東京(NNA撮影)

みずほ総合研究所のまとめによると、日本の労働力人口は2016年の6,648万人から30年には16年比12%減の5,880万人に、65年には同41%減の3,946万人まで縮小する見通しとなっている。

こうした将来を見据え、「女性活用と高齢者活用、そして外国人活用をしていかないと、日本の企業は存続の危機に陥ってしまう」と話すのは、ベイングローバル(東京都中央区)の大澤藍社長だ。

同社は、日本の大学に在籍する外国人留学生を対象とした就職イベントを毎年、東京と大阪、名古屋で開催する。もともと、元親会社の事業部の一つだった同社は12年に独立して設立された。独立前の事業部は赤字が続き、事業の継続か撤退かを問われる状況に陥っていた。当時は外国人留学生の就職支援をするにしても、企業側は前例のない外国人の受け入れに消極的だったためだ。

07年に始まった就職イベントの第1回は東京で1日のみの開催で、参加した企業はわずか15社だった。その後、世界金融危機で企業が採用枠を減らしたり、11年の東日本大震災で多くの外国人が母国に帰ってしまったりと逆風も吹いたが、就職イベントは次第に規模を拡大していく。「外国人の採用実績をつくっていこうと啓発を続けた結果、お客様はついてきた」(大澤社長)。現在は、東京の場合で72カ国からの留学生が1日1,000人集まり、2日間開催する規模まで拡大した。

ベイングローバルの顧客は、自動車部品から素材、化学、消費財、食品など、企業間取引(BtoB)、企業・消費者間取引(BtoC)を問わず、海外の売り上げや拠点を増やしているメーカーが主だ。国籍を問わず優秀な人材を雇用することが目的で、日本本社での採用案件がメインだという。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の「2016年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、海外ビジネス拡大のために最も重視する人材を尋ねる問いに対し、「現在の日本人社員のグローバル人材育成」と答えた回答が全体の48.1%を占め最多だった。「外国人社員の採用、登用」の回答は2番目に多かったが、比率は23.1%にとどまった。

現在は、ほとんどの企業が中長期ビジョンで「ダイバーシティー(多様性)」や「グローバル」のキーワードを盛り込むようになった。「これから国内市場が縮小し、海外で事業を展開していく中で、日本人の採用に固執する必要はあるだろうか」と大澤社長は問い掛けている。

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■深刻化するIT産業の人手不足

ビッグデータやモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)などをキーワードに急速な拡大が見込まれるIT人材需要。しかし、日本のIT産業はその反対に、人手不足が深刻化するとみられている。

経済産業省が2016年に公表したリポート「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、IT関連産業の産業人口は15年時点で約17万人が不足。需要が増加する一方でIT人材の供給は19年をピークに減少するため、IT人材の不足規模は中位シナリオの場合で20年に約29万人、30年には約59万人に拡大していく推計となっている。30年の不足規模は、楽観的な低位シナリオでも約41万人、悲観的な高位シナリオでは約79万人に上る。

また、今後特に大幅な不足が見込まれるビッグデータやIoT、AIを担う「先端IT人材」の不足数は、16年の約1万5,000人から20年には約4万8,000人に拡大するとみられる。

ウェブ系職種を専門とした人材派遣事業を手掛けるウェブスタッフ(東京都渋谷区)の半田貴将社長はIT産業の人手不足について、「全体的な労働人口の減少による影響が大きいが、IT関連職を希望する人が減っていることも原因」と指摘する。

その背景には、一部の理数系以外の人にとってプログラミングが身近なものでないことがあるという。20年からは小学校でプログラミング教育が必修化されるが、半田社長は「今より多くの子供がプログラミングやITに興味を持つきっかけにはなるが、そもそも教える側の大人にITの知識が豊富な人材が少ないため、抜本的な解決策にはならないだろう」と厳しい。

一方で、IT人材の需要は「日々増していると感じる」(半田社長)ほど拡大している。

ウェブスタッフが設立された1998年は、一般家庭にパソコンが普及するきっかけとなった米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ98」が発売された年だ。当時自社のウェブサイトを持つのは一部のBtoC企業に限られていたが、現在はBtoBの企業でも、商品ページや人材採用ページ、投資家向けページなど複数のウェブサイトを持つことが当たり前になった。

かつては会社にデザイナーなどウェブ専門の職種が少なかったため、ウェブ関連の人材は派遣会社や紹介会社を介して職を得ていたが、今では各企業のウェブ関連職に直接就けるようになった。さらには、ウェブを学校などで学ぶ学生を、卒業前から企業が囲い込む「青田買い」まで生じている状況という。

こうした中で、国内のIT人材需要を満たすには、海外からの人材の受け入れは必須になってくる。安倍晋三首相も16年にベルギーで行ったスピーチで、20年までに外国人IT人材を3万人から6万人に倍増させることを目指すと表明している。

例えばウェブスタッフのように、インド工科大学(IIT)コンピューターサイエンス科の学生を日本企業のインターンシップに誘致するといったサービスを展開する企業も出てきている。半田社長は「日本のIT人材不足はIITだけではまかなえない。またインドも経済力が高まれば、そう簡単に日本の企業に来てくれなくなることも考えられる」と警鐘を鳴らしている。

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■明日のエース人材を受け入れるために

~人材サービス会社のアドバイス?~

いざ外国から人材を雇おうとするとき、言葉以外に壁となるのは何だろうか。改めなくてはいけないことは何だろうか。それは社内の制度やルールのようなことかもしれないし、あるいは「心構え」かもしれない。外国人人材サービスを手掛ける企業の3人がアドバイスする。

<ウェブスタッフ>

半田貴将社長

これから外国人材を採用するに当たっては、意思決定のスピードを速めなくてはいけません。当社の、インド工科大学(IIT)の学生を対象としたインターン受け入れの支援事業では、採用の意思があるのならば学生が帰国する前にオファーを出すよう伝えていますが、日本の企業は判断を遅らせてしまうケースが多いです。「たった2カ月のインターンでは判断できない」「通常の選考フローに合わせたい」といった理由からです。

IITでは、3年生の12月に企業が大学を訪れて採用活動を行い、学生側は1社からしか内定を受けることができません。当社のプログラムは、3年生の10月の段階で囲い込みができるのが利点なのに、企業は学生が4年生になる翌年に採用しようとしがちです。採用を検討していたのにオファーをためらった結果、欧米企業に先に採用されしまったというケースが実際にありました。非常にもったいない話です。

これまで、日本企業の人材獲得競争の相手は、国内の同業のライバルでした。しかし海外の人材に関しては、マイクロソフトやグーグルといったグローバル企業と競争しているというイメージを持たなければいけません。

<ベイングローバル>

大澤藍社長

日本の採用の制度は独特なため、外国人には分かりづらい点が多いです。

例えば、総合職採用というのは非常に抽象的に映ります。自分が一体何の職種でその会社に雇用されるか分からないためです。マーケティングやSEなど、職種を明確にして職種別採用にした方が、外国人にとって喜ばしいでしょう。

また新卒採用も日本独特の採用手法で、応募する期間が限定される点も理解されづらいところです。

このほか、外国人人材はすぐに辞めてしまうという印象が強いですが、こうした先入観にとらわれないことが重要です。日本人でも転職が受け入れられる世の中になっています。新卒で日本人を採用しても、全員が全員残るわけではありませんよね。外国人の場合、実家が母国にあることから、辞めざるを得ない理由が日本人よりも一つ多いと考えれば良いのです。辞められることをリスクと捉えるよりも、そういうものだという認識を持ち、先行投資という形で採用すべきです。

言葉の壁に関しては、日本語が堪能な外国人を雇ったり、社内で英語力を高めたり、翻訳ソフトを活用したり、解決策はたくさんあります。言葉の壁さえ低くなれば、優秀な人材を獲得する機会は増えていきます。

<パソナ>

市川知之 グローバル事業本部長

アジアの有名大学に日系企業は常に注目していますが、なかなかそこの学生は来てくれず、ミスマッチが起きているようです。

社員のチームワークや技術といった日本の企業の良いところや、さらには食の安全安心、セキュリティーの良さといった日本の魅力にほれ込んで入社してくれることはとても大切です。ベトナムやタイ、インドネシアは親日的な国で、日系企業が一つの憧れというところがあります。そうした国の人材を狙うのも戦略の一つだと思います。

しかし、賃金の魅力、働き方の魅力も出していかないと、労働力を確保するには難しい時代になってきました。新卒採用で一斉に入社し、そこから生まれるチームワークやチームビルディングも大切ですが、それとは別に、「個」を生かせるような働き方を考えないといけません。

アメリカでは、不足しているITエンジニアに対して日本企業のオファーは給与が低いため、オファーを全く受けてもらえないという話も聞きます。特別優秀な学生を雇用するに当たっては、通常の新卒採用とは別の採用ルートをつくるとか、異なる給料レンジを設けるなど差を付ける必要があるでしょう。

※特集「NNAカンパサール特集・アジアの名門大学」は、アジア経済を観るNNAの新媒体「NNAカンパサール」2018年4月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しました。


関連国・地域: 中国-全国日本
関連業種: 雇用・労務社会・事件

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