フィリピンのシマツ環境天然資源相は23日、ドゥテルテ大統領に対し、4月26日から半年間、アクラン州ボラカイ島を閉鎖するよう勧告したことを明らかにした。当初は1年間の閉鎖を勧告していたが、下水道事業者が短期間で下水管を整備することを約束したため短縮した。地元紙インクワイラーなどが伝えた。
シマツ氏によると、環境天然資源省、観光省、内務・自治省のタスクフォースがこのほど、メディアルデア官房長官を通じて大統領に、ボラカイ島の半年間の全面閉鎖を勧告した。省庁横断のタスクフォースは、ドゥテルテ大統領が、2月9日に排水による環境汚染が進むボラカイ島を「汚水だめ」と指摘した後、同島の環境回復に向け設置していた。
環境天然資源省のレオネス次官は、ボラカイ島で下水管の敷設工事を実施する間に観光客の入島を許可しても、道路が通行止めで、観光客に不便を与えるだけと指摘。閉鎖期間中には、リハビリとして森林や湿地、満潮線から30メートル以内の海岸に建てられた違法建築の撤去なども行うと説明した。
4月26日から完全閉鎖となれば、毎年5月1日に開催されるイベント「ラボラカイ」も開催されなくなる。
ドゥテルテ大統領は22日夜、「準備が整い、問題が無ければ、リハビリ計画を進める」と述べ、ボラカイ島の閉鎖を支持する方針を示した。ロケ大統領報道官は、最終決定ではないことを強調した上で、今月末の聖週間(ホーリーウイーク)に同島を閉鎖することはないと言明した。
フィリピン商工会議所(PCCI)や一部の上院議員は、経済的影響の大きさから全島閉鎖に反対姿勢を示し、政府に再考を働きかけている。観光業界団体フィリピン旅行組合(TCP)のクレメンテ代表は、「1年先まで予約がつまっている」として、閉鎖までの猶予期間を設定すべきと主張している。
一方、フィリピン航空(PAL)や格安航空会社(LCC)最大手セブ・パシフィック航空は、政府が同島の閉鎖を決定した場合、玄関口であるカティクラン空港とカリボ国際空港の発着便について、航空券の払い戻しや便変更に応じる姿勢を示している。
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