【アジアで会う】小林達さん ベーカリー「青い鳥」経営者 第180回 「日常の中に幸せ」届ける(韓国)

こばやし・すすむ 1985年生まれ。神奈川県横浜市出身。高校を卒業後に全国展開している製パン会社に就職。同社が中国で設立した合弁会社に出向。現地でおよそ1年間働いた後、帰国。この頃から独立を志す。別の製パン会社で修行中に韓国のベーカリー大手から声がかかり、2度目の海外挑戦。2014年4月に韓国で独立し、ベーカリーとカフェを併設した「青い鳥」をオープンする。2016年12月に2号店「青い花」をオープン。

ソウル西部の弘大入口。「弘大」の名の通り、名門大の弘益大学が中心に位置するこの一帯は、お洒落なカフェやブティック、レストランが軒を連ねるソウルを代表する繁華街だ。そんな弘大の一角に、2014年、日本人が経営するベーカリーが登場した。

「『青い鳥』には、日常で使ってもらえるパン屋にしたいという意味を込めた」

「青い鳥」はベルギーの詩人、モーリス・メーテルリンクの代表作。チルチルとミチルの兄弟が幸せの青い鳥を求めて夢の中で旅をし、結局のところ、幸せは最も身近な場所にあると気づくという物語。「私が理想とするのは、お客に普段の暮らしの中で自然と利用してもらえるお店。『幸せは日常の中にある』と私なりに解釈し、この名前を付けた」と、小林さんは話す。

青い鳥で作るパンは「やきそばパン」や「メロンパン」といった日本でもおなじみのメニューだけでなく、バゲット、クロワッサンなど豊富だ。レストランも併設する。「売るアイテムは多い方がいい」という理由もあるが、「レストランを併設する方が1日に販売するパンの量を調節しやすくなり、ロスが減らせる」と考えたからだ。レストランは、日本でシェフをしている友人を韓国に招き、手伝ってもらっている。

■「悔しさ」からの挑戦

小林さんが独立を考えたのは、中国から日本に帰国してからのことという。中国では、当時働いていた製パン会社が現地の企業と設立した合弁会社で、日本人責任者のサポートという役割を担った。

「ところが、その日本人責任者が途中で投げ出してしまった。そのため、まだ20代前半の私が突如、責任者の立場になってしまった」と、小林さんは当時を思い返す。ただ中国事業は軌道に乗らず、1年で帰国。経営のことなど何もわからない状態で責任者として過ごした中国での悔しさが、小林さんの心に火をつけた。

日本のパン業界はすでに飽和状態。中国での経験を生かせる場所は海外にあると考えた。「海外に場を移すことで、自分でやりたいことができるんじゃないか」。独立に向けた修行の最中、韓国の日本式ベーカリーチェーン「東京パン屋」から声がかかり、2011年に渡韓。東京パン屋を3年間手伝い、14年4月に「青い鳥」をオープンすることになる。

■働く人が主役の職場

小林さんは「初めは知識も全くない状態で韓国に来たけれど、日本人というだけで高く評価してもらえた。ビジネスをしていく上では、その点が有利だと感じた」と開業当時を振り返る。韓国のパン業界は決して大きいとは言えないが、日本旅行に行く若者が多いこともあり、日本のパンの認知度は高い。そういった背景が、順調な滑り出しにつながったのかもしれない。

16年12月には、同じ弘大入口地域に待望の2号店を開業。「青い花」と名付けた。認知度が高い青い鳥の「青」を引き継ぎつつ、「2号店」とせずに別の名称を付けたのにも理由がある。

「お店は働いている人が主役。青い鳥と青い花は働く人が違う。位置づけは2号店だけれども、それぞれが独立したお店という意識で働いてもらいたいと考え、あえて名前を変えた」

青い鳥と青い花では共通のメニューも扱うが、そこで働く職人が考案した独自のメニューも多い。小林さんは、働いている仲間への配慮も忘れない。

当面の目標は3号店のオープン。14年の青い鳥開業時、「5年で3店舗」という目標を掲げた。将来的には日本にも拠点を設け、日韓職人の交流も行っていきたいという。

「年商100億円の会社にする、というのが最終的な目標」。小林さんの夢はまだ始まったばかりだ。(韓国編集部・清水岳志)


関連国・地域: 韓国
関連業種: 食品・飲料

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