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【16年の10大ニュース】安定した投資環境に潮目の変化

マレーシアの2016年は、2年前から継続する原油価格の低迷で逆風の中にあり続けた。対米ドルでのリンギ安がさらに進んだほか、国内人材の雇用を確保するため外国人労働者の新規受け入れを突然凍結するといったドラスティックな政策変更も実施。安定した投資環境が売りだったこれまでとは異なり、潮目に変化が生じた一年だったといえる。
一方で、首都圏のMRT(大量輸送交通システム)1号線の開通、シンガポールと結ぶ高速鉄道(HSR)の26年開業への正式合意など、20年の先進国入りへの道筋ともなる大型事業は確実に進展した。個人消費の底堅さと積極的なインフラ投資で国内総生産(GDP)成長率は4%台を維持し、日系を含む外資企業の投資も堅調だった。
来たる17年は、翌18年の首相任期を控えて次期総選挙が行われる可能性もささやかれる。ナジブ首相個人の汚職疑惑による内政の火種はくすぶったままであり、政局の混乱は避けられない見通しだ。