《海外事業力育成》海外進出成功のための事業戦略と人材育成のポイントとは?(中編)

株式会社サーキュレーション主催、株式会社エヌ・エヌ・エー(共同通信グループ)協賛にて、「海外事業力育成セミナー 次世代経営幹部を育てる」が9月9日に開催されました。本セミナーでは、自社主導による本格的な海外進出を始める製造企業向けに、事業戦略のポイントと人材育成の要諦が解説されました。

講師は、株式会社パンアジアアドバイザーズ代表として日本企業の海外進出支援としたコンサルティングを提供している椿高明氏。当日のセミナー内容をレポートします。

中編では、海外市場への進出事例と成功のポイント、さらに成功するために欠かせない人材について、ご説明いただきました。

■いま世界のどこで、なにが成長しているか

次にみていきたいのが、「海外市場においてどの分野が成長しているのか」です。

「内情がわかりにくく、先が読みにくい新興国に進出するのは怖い」という経営者の声をよく聞きますが、実はそれほど心配する必要はありません。

「その理由は、製造業立国を目指す国は、どこも同じような経済成長の経路をたどるものだからです。たとえば日本では1950年代に食品や軽工業など生活必需品産業が、1960年代に製造業が、1970年代以降に不動産・金融・保険業が急成長を遂げました。これは、多くの人々が製造業で働きはじめ、結婚し、子供を産み、マイホームを持つ、といった自然なライフサイクルに沿ったものでした。

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同じサイクルで成長が進行中の国の一つであるベトナムの2008年の産業分布は日本の1950年代のそれと酷似しています。今ベトナムは1950年代の日本同様、食品産業が非常に盛んですが、次にどの産業が成長するかはある程度予測することができるわけですね。そう考えると、新興国への進出は決して難しくはありません。

次にどの産業が成長するかを予測でき、その先々で役立つ道具だてを知っている意味で、新興国に入り込んだ日本企業は、あたかも「ドラえもん」のような力を持ちます。あとは、現地市場に上手に事業を育てるのが課題です。

それではここで、これまでの成功事例を、いくつか挙げてみましょう。

<日本企業の海外進出成功事例>

●Multi 800(スズキ):

Multi 800は1980年代半ばにスズキが開発した乗用車です。「いかにして安くつくるか」という自社の強みと、「インドで何が必要とされているのか」をゼロベースで考え、すれすれのコストで製造を実現。発売後10年に渡りシェア80%を維持し、インドの近代的自動車産業の発展に絶大な足跡を残しました。

●mandom(マンダム):

日本では当たり前に使っているシャンプーや整髪料も、新興国に多い低所得者層にとっては、まずボトル入りを買うお金がない、という点が最大の課題でした。それが、デートや結婚式など特別な時だけに使えるように、1回使いきりタイプのパッケージにして、広く普及することに成功しました。商品そのものではなく、革命的な売り方にすることで成功を収めました。

●Yakult(ヤクルト):

海外で商品やサービスを展開する場合には、その国や土地に合わせてローカライズをすることが多いですが、日本でのやり方をそのまま持ち込んで成功した好例が「ヤクルトおばさん」です。各家庭を自転車でまわり、口コミを広げていくことでスムーズに現地に入り込むことができました。

■新興国で戦える人=次世代の経営者

新興国で成功するチャンスはありますが、そのためには適切な人材を海外市場へ送り込むことが必要です。実は、新興国事業こそ次世代経営者の育成に最適だと思います。新興国で事業を成長させられる人=次世代の経営者といっても過言ではないのです。

その理由は、次の通り。

第一に、しがらみもリソースもないところでビジネスを起こすことで『創業者魂』を培うことができます。

第二に、新事業で活躍できた人材なら次の事業のリーダーを任せられるという『試金石』となります。

第三に、異文化人材に後継者を求める仕事を経験することで、人間としての『多元化』を遂げることができます。

そして第四に、会社が今後伸びていく主戦場で働くことで、会社の『方向性』そのものをつかむことができるようになります。

それにもかかわらず、未だに「海外勤務=左遷」といった風潮が一部の日本企業には残っているのは残念なことです。日本企業は海外進出に対しての意識から変えなければならないのです。

■どういう人材が海外事業で活躍するのか。山賊と正規軍

では、具体的にどういう人材が海外事業で活躍するのでしょうか。

「大別すると人材には2つの種類があると思います。一つ目は着想、創意工夫、突破力に強みを持つ“山賊”人材。もう一つは効率、効果、緻密さに強みを持つ“正規軍”人材です。

正規軍人材は、こんにちの日本企業ではエリートと呼ばれる人たちですが、ゼロからの事業立ち上げを苦手とするケースが多い。しかし、のちのち“山賊”を監督するために “正規軍”を適材適所に采配すること大切になってきます。

事業のステージに応じた配置が必要となるでしょう。

現時点ではまだ、少なくない日本企業で、海外に送り込む人材の選定方針がそもそも間違っているケースが見られます。

「語学はできるけど事業開拓を進める山賊的な能力は足りない、という人材を新興市場に送り込んでも仕方がありません。語学必修を前提に、語学力不問でエース中のエースを投入することが成功の決め手となるのです。

(後編へ続く)http://www.nna.jp/articles/show/1518430


関連国・地域: 日本
関連業種: 経済一般・統計

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