シンガポール国際商工会議所（ＳＩＣＣ）は先週、日本貿易振興機構（ジェトロ）と、世界各地で事業展開する英系保険ブローカーのＡｏｎ（エーオン）からそれぞれ…

シンガポール

シンガポール国際商工会議所（ＳＩＣＣ）は先週、日本貿易振興機構（ジェトロ）と、世界各地で事業展開する英系保険ブローカーのＡｏｎ（エーオン）からそれぞれ講師を招き、アジアのビジネス環境や取引信用保険をテーマとするセミナーを開催した。日系企業関係者を中心に、当初予定の50人を上回る65人が参加した。
■鮮明な日本企業のＡＳＥＡＮシフト
第１部では、東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）と中国を中心としたビジネス環境と日系企業の動向について、ジェトロ・シンガポール事務所の小島英太郎次長が解説した。
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小島氏は、日本企業の対アジア直接投資が2012年以降、中国からＡＳＥＡＮ中心に鮮明にシフトしていること、ＡＳＥＡＮ主要国と中国でみた場合、シンガポール向けの投資が昨年は最も多かったことを指摘。規模は小さいながらも、対カンボジア、対ミャンマーの投資も伸びは目立つ。小島氏はミャンマーについて、12年の段階で56社程度だった現地日本人商工会議所の会員企業数が、現在では240社と４倍超に達したと話した。
日本企業のＡＳＥＡＮ向け投資のうち非製造業が５割以上を占めていることが、かつてと異なる特徴。域内ハブとして機能しているシンガポールに資金が集まっている。一方で自動車をはじめとする輸送機械の分野では、タイとインドネシアへの集中的な投資が目立っているという。
日本企業の事業拡大意欲は、ＡＳＥＡＮ各国が中国をしのいでおり、カンボジア、インドネシア、フィリピンが顕著という。販売機能の拡大傾向が目立ち、シンガポールでは回答企業の75.3％がこれを選択。マレーシア（60.3％）、インドネシア（56.6％）、タイ（56.0％）も50％を超えた。小島氏は、◇販売強化の努力◇Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）などを活用して地場企業などの顧客基盤・ネットワークを取り込む努力◇新市場開拓の努力——がＡＳＥＡＮで常に求められているとの見方を示した。
■取引信用保険「活用メリット大」
第２部では、取引信用保険を活用した与信管理体制の強化と売り上げ拡大について、Ａｏｎの土岐謙太郎・リージョナルアソシエートディレクターが説明した。輸出などの売掛債権を保全するのが取引信用保険。活用メリットは、与信管理面だけでも与信管理のサポートや一部アウトソース、債権回収サービスの提供、信用情報および機密情報の提供と多くあり、リスク転嫁、コーポレート・ガバナンス（企業統治）など与信管理面以外を含めるとさらにメリットは大きく膨らむという。
土岐氏によれば、オランダのアトラディウス、フランスのユーラーヘルメスとコファスの計３社で世界の信用保険の85％ほどを占める。地域ネットワークを持つ保険ブローカーを利用しながら、信用保険リージョナルプログラム導入を検討する企業が増える傾向にあると同氏は述べた。
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